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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻5号

2007年05月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

ステロイドの大量療法が無効であった全身性エリテマトーデスに伴う漿液性網膜剝離の1例

著者: 山田浩喜1 酒井淳1 三島一晃1 岩永希2 本多絵美1 北岡隆1

所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科眼科・視覚科学教室 2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座(第一内科)

ページ範囲:P.847 - P.851

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要約 目的:漿液性網膜剝離に対して副腎皮質ステロイドの大量投与が無効であった全身性エリテマトーデス(SLE)症例の報告。症例:51歳女性が左眼の比較中心暗点で受診した。8年前に関節痛と発熱を契機としてSLEと診断され加療中であった。所見と経過:矯正視力は右1.5,左0.5であった。漿液性網膜剝離が右眼の鼻側と左眼の黄斑部にあり,網膜血管炎が併発していた。SLEに続発した網膜症として,それまで内服中であったプレドニゾロンを増量した。2週後に網膜剝離は軽快したが,その3週後に再発したので,ステロイド大量療法を行ったが無効であり,胞状網膜剝離になった。網膜光凝固で軽快し,初診から10か月後の現在まで再発はない。結論:SLE患者に生じた漿液性網膜剝離では,ステロイドの大量全身投与は慎重に行うべきであり,早期の網膜光凝固が奏効することがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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