臨床眼科61巻5号

2007年05月発行

連載 眼科医のための救急教室・5

高齢者救急

著者： 和田崇文¹ 箕輪良行¹

所属機関： ¹聖マリアンナ医科大学救急医学

ページ範囲：P.876 - P.878

はじめに

　2006年の総務省統計局の発表によれば，わが国の高齢者人口は総人口の20.7％となり，国民5人に対し1人を占めています。そして「65歳以上74歳以下」の前期高齢者よりも「75歳以上」の後期高齢者の増加が著しく，また地域に老人介護施設も増加した結果，医療現場に高齢者が急増したと推察されます。以前から「小児は大人の小型ではない」といわれますが，「老人は成人の延長ではない」^1）ことも熟知する必要があると思います。そこで今回は周術期管理を中心に高齢者救急の注意点を解説します。

高齢者の身体的・生理的変化

　高齢者診療の注意点は岩田^2）の「12の教訓」（表1）および総論が詳しいので以下に引用し，そのなかの重要ポイントを解説します。

参考文献

1）大橋教良：エディトリアル．救急医学　29：1785，2005

2）岩田充永：高齢者の身体的・生理的変化．救急医学　29：1787-1790，2005

3）江口徳昌・秋丸和徳・石川　享：ACE阻害薬による誤嚥性肺炎予防効果．細胞　38：100-103，2006

4）寺沢秀一：救急外来における高齢者の診療．救急医学　29：1801-1804，2005