今月の表紙
網膜動静脈吻合
著者:
河田直樹1
西田輝夫2
所属機関:
1お茶の水・井上眼科クリニック画像診断課
2山口大学眼科
ページ範囲:P.933 - P.933
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症例は44歳の女性。以前から左眼の視力低下を自覚していたが,霰粒腫で他医を受診した。左眼の矯正不良,網脈絡膜萎縮と網膜血管拡張が認められたため,精査依頼で当院受診となった。初診時の視力は右0.01(1.2×sph-11.00D()cyl-1.00D 20°),左0.01(0.7×sph-13.00D),眼圧は非接触型眼圧計で右15mmHg,左13mmHgであった。相対的瞳孔求心路障害(relative afferent pupillary defect:RAPD)は陰性,Humphrey視野計では両眼とも盲点の拡大は認めるが,mean deviationは右-3.56dB,左-2.84dBで,右眼はボーダーライン,左眼は正常範囲内であった。
眼底所見は,両眼ともに豹紋状を呈し,視神経乳頭下方にコーヌスを伴っていた。若倉雅登病院長の診察にて,高度近視に伴う黄斑変性と網脈絡膜萎縮が視力低下の原因と診断された。網膜血管拡張に対しては,先天性の奇形と思われたため,フルオレセイン蛍光眼底造影撮影を施行したところ,動静脈の吻合が確認できた。