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連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・3
アデノウイルス結膜炎
著者: 大口剛司1 北市伸義1 大野重昭1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座眼科学分野
ページ範囲:P.934 - P.937
文献購入ページに移動ヒトアデノウイルス(HAdV)は現在51種類の血清型1)が知られており,さらにそのDNAの相同性などによりA~Fの6つの亜属2)に分けられている。血清型と疾患との関連を表1に示すが,結膜炎は主にB亜属のHAdV-3,7,11,D亜属のHAdV-8,19a,37,E亜属のHAdV-4によって引き起こされる。このうち,B亜属およびE亜属による結膜炎は咽頭結膜熱(pharyngoconjunctival fever:PCF),D亜属による結膜炎は流行性角結膜炎(epidemic keratoconjunctivitis:EKC)として知られている。しかし眼所見においてその鑑別は明確ではなく,現在ではヒトアデノウイルス結膜炎として捉えるのが一般的である。
ヒトアデノウイルス結膜炎は日常の眼科診療では頻繁に遭遇する疾患であり,わが国では年間約100万人ものヒトアデノウイルス結膜炎患者が発生していることが報告されている3)。また,その感染力の強さから家族内感染や院内感染がしばしば発生する。特に,院内感染は主にD亜属が原因となり,全国の大学病院で発生し4),時には社会問題にもなっている。
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