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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻6号

2007年06月発行

文献概要

連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・3

アデノウイルス結膜炎

著者: 大口剛司1 北市伸義1 大野重昭1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座眼科学分野

ページ範囲:P.934 - P.937

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はじめに

 ヒトアデノウイルス(HAdV)は現在51種類の血清型1)が知られており,さらにそのDNAの相同性などによりA~Fの6つの亜属2)に分けられている。血清型と疾患との関連を表1に示すが,結膜炎は主にB亜属のHAdV-3,7,11,D亜属のHAdV-8,19a,37,E亜属のHAdV-4によって引き起こされる。このうち,B亜属およびE亜属による結膜炎は咽頭結膜熱(pharyngoconjunctival fever:PCF),D亜属による結膜炎は流行性角結膜炎(epidemic keratoconjunctivitis:EKC)として知られている。しかし眼所見においてその鑑別は明確ではなく,現在ではヒトアデノウイルス結膜炎として捉えるのが一般的である。

 ヒトアデノウイルス結膜炎は日常の眼科診療では頻繁に遭遇する疾患であり,わが国では年間約100万人ものヒトアデノウイルス結膜炎患者が発生していることが報告されている3)。また,その感染力の強さから家族内感染や院内感染がしばしば発生する。特に,院内感染は主にD亜属が原因となり,全国の大学病院で発生し4),時には社会問題にもなっている。

参考文献

1)Schnurr D, Dondero ME:Two new candidate adenovirus serotypes. Interviology 36:79-83, 1993
2)Phillipson L:Structure and assembly of adenovirus. Curr Top Microbiol Immunol 109:1-52, 1984
3)Yamadera S, Yamashita M, Akatsuka N et al:Adenovirus surveillance, 1982-1993, Japan. A report of the national epidemiological surveillance of infectious agents in Japan. Jpn J Med Sci Biol 48:199-210, 1995
4)大口剛司・青木功喜・有賀俊英・他:ウイルス性結膜炎の大学病院院内感染のアンケート調査.日本の眼科 75:689-692,2004
5)Kitaichi N, Ariga T, Ohno S et al:Acute unilateral conjunctivitis after rubella vaccination:the detection of the rubella genome in the inflamed conjunctiva by reverse transcriptase-polymerase-chain reaction. Br J Ophthalmol 90:1436-1437, 2006
6)青木功喜・沢田春美:結膜炎関連アデノウイルスの血清疫学.日眼会誌 91:181-186,1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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