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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻6号

2007年06月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

緑内障病型別にみた線維柱帯切開術の成績

著者: 小松務1 横田香奈1 松下恵理子1 上野脩幸1

所属機関: 1高知大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1039 - P.1043

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要約 目的:各種の緑内障に対する線維柱帯切開術の成績の報告。対象と方法:過去3年間に線維柱帯切開術を行い,1か月以上の経過が観察できた緑内障93例110眼を対象とした。年齢は13~92歳(平均68歳)で,緑内障の内訳は,原発開放隅角緑内障31眼,原発閉塞隅角緑内障8眼,落屑緑内障32眼,ステロイド緑内障8眼,ぶどう膜炎続発緑内障13眼,その他18眼である。81眼が有水晶体,28眼が偽水晶体,1眼が無水晶体であった。病型と濾過手術既往の有無により術後眼圧を検討し,生存率として表現した。結果:全症例の術後眼圧は平均15~16mmHgであった。平均12か月までの生存率はカットオフ値を19,16,14mmHgとした場合,それぞれ65%,47%,25%であった。病型別では落屑緑内障の生存率が最も良好であった。濾過手術既往の有無は生存率に影響しなかった。結論:線維柱帯切開術は緑内障の病型により効果が異なる。濾過手術の既往がある緑内障に対する再手術には線維柱帯切開術が選択肢の1つになる。

参考文献

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2)Tanihara H, Negi A, Akimoto M et al:Surgical effects of trabeculotomy ab externo on adult eyes with primary open angle glaucoma and pseudoexfoliation syndrome. Arch Ophthalmol 111:1653-1661, 1993
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4)青山裕美子・上野聡樹:ジヌソトミー併用トラベクロトミーの術後中期の眼圧推移.あたらしい眼科 12:1297-1303,1995
5)安藤雅子・黒田真一郎・寺内博夫・他:原発開放隅角緑内障に対するサイヌソトミー併用トラベクロトミーの長期経過.臨眼 57:1609-1613,2003
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12)藤本裕子・溝口尚則・黒田真一郎・他:濾過手術後のサイヌソトミー併用トラベクロトミー.あたらしい眼科 21:683-686,2004
13)Shirato S, Kitazawa Y, Mishima S:A critical analysis of the trabeculectomy results by a prospective follow-up design. Jpn J Ophthalmol 26:468-480, 1982

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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