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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻6号

2007年06月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

角膜穿孔を生じたPaecilomyces属による角膜真菌症の1例

著者: 椋本茂裕1 井出尚史1 嘉山尚幸1 小林円1 伊勢ノ海薫子2 檀之上和彦3 針谷明美2 上野聰樹1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院眼科 2聖マリアンナ医科大学眼科学教室 3京浜総合病院眼科

ページ範囲:P.1049 - P.1052

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要約 目的:急速に進行し,角膜穿孔に至ったPaecilomyces属による角膜真菌症の症例の報告。症例:78歳男性が4日前からの右眼充血で受診した。8年前から兎眼性角膜症で加療中であった。所見と経過:矯正視力は右手動弁,左0.9で,右眼に毛様充血と角膜中央部の下方に羽毛状混濁を伴う角膜潰瘍と前房蓄膿があった。潰瘍部の擦過物から糸状菌が検出され,培養でPaecilomyces lilacinusと同定された。フルコナゾールの点眼と静注と1%ピマリシン眼軟膏投与が奏効せず,ボリコナゾールの内服を行ったが,第18病日に角膜が穿孔した。結膜被覆術を行い,ボリコナゾール点眼を開始した。その後角膜膿瘍は縮小した。結論:Paecilomyces属による角膜真菌症は予後不良なことがあり,早期診断と治療が重要である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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