icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻6号

2007年06月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

梅毒眼感染症を契機に発見されたHIV感染症患者の1例

著者: 袖山丈男1 村山耕一郎1 魵澤伸介1 樺澤昌1 島田佳明1 米谷新1 鈴木幸彦2 中澤満1

所属機関: 1埼玉医科大学眼科学教室 2弘前大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1053 - P.1057

文献購入ページに移動
要約 目的:梅毒性眼感染症を契機としてヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染が発見された症例の報告。症例と経過:37歳男性が急激な左眼疼痛と視力低下で受診。5か月前から両眼の羞明と右眼視力低下があった。矯正視力は右0.3,左手動弁であり,両眼に虹彩炎,硝子体混濁,視神経炎,網脈絡膜炎がみられた。梅毒血清反応が強陽性であり,梅毒性ぶどう膜炎ならびに視神経炎と診断し,駆梅療法と副腎皮質ステロイド薬の治療により,視神経炎とぶどう膜炎は軽快した。全身の精査でHIV感染があることが判明した。初診から2か月後の矯正視力は右0.5,左0.7であった。結論:梅毒による眼感染症では,HIVその他の性感染症が併発している可能性に留意すべきである。

参考文献

1)鬼木信乃夫:梅毒性ぶどう膜炎.眼科 15:271-277,1973
2)Schlaegel TF Jr, Kao SF:A review(1970-1980)of 28 presumptive cases of syphilitic uveitis. Am J Ophthalmol 93:412-414, 1982
3)Schlaby IA, Dunn JP, Semba RD et al:Syphilitic uveitis in human immunodeficiency virus-infected patients. Arch Ophthalmol 115:469-473, 1997
4)山本成径・村上喜美雄・本村幸子:ペニシリンG大量点滴静注が著効を示したAIDS患者に合併した眼梅毒.眼臨 94:466-470,2000
5)佐村政義・中西徳昌・河田 博・他:HIV感染と合併した梅毒性ぶどう膜炎の2例.臨眼 49:979-983,1995
6)山本香子・菊地雅史・川本未知・他:梅毒性視神経炎と網脈絡膜炎を合併したHIV感染症患者の1例.あたらしい眼科 21:1277-1279,2004
7)池田宏一郎・渡瀬誠良・川村洋行:Human immunodeficiency virus感染を合併した梅毒性ぶどう膜炎の1例.臨眼 53:193-196,1999
8)Margo CE, Hamed LM:Ocular syphilis. Surv Ophthalmol 37:203-220, 1992
9)Becerra LI, Ksiasek SM, Savino PJ et al:Syphilitic uveitis in human immunodeficiency virus-infected and noninfected patients. Ophthalmology 96:1727-1730, 1989
10)橋戸 円・岡部信彦:わが国における性感染症の現状.化学療法の領域 21:1083-1089,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?