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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻6号

2007年06月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

Behçet病における新規発症患者の動向

著者: 早川宏一1 昆野清輝1 高橋和臣1 吉冨健志1 山木邦比古2

所属機関: 1秋田大学医学部感覚器学講座眼科学分野 2日本医科大学千葉北総病院眼科

ページ範囲:P.1059 - P.1062

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要約 目的:秋田大学眼科でのBehçet病の初診患者の動向の報告。対象と方法:2002年までの5年間に当科外来を初診したBehçet病患者を診療録の記録に基づいて検討した。その結果を1982年までの11年間と1997年までの5年間の当科での発症状況と比較した。結果:この5年間に12例がBehçet病と診断され,うち7例に眼症状があった。その内訳は男性5例,女性2例であり,年齢は平均27.0±8.8歳であった。眼症状がある7例では治療と経過観察を行った。最終受診時に13眼中6眼で視力が0.1以下であり,すべて黄斑変性と視神経萎縮がその原因であった。ぶどう膜炎のなかでBehçet病が占める頻度は,1982年までの11年間では31.9%,1997年までの5年間では5.3%,今回の5年間では3.0%であり,新規に発症する患者数は減少していた。結論:1982年までの期間と比較し,2002年までの5年間の新規発症は有意に減少している。この事実は,わが国でのBehçet病の新規発症が減少しつつあるという従来の報告と一致する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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