臨床眼科61巻6号

2007年06月発行

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

上眼瞼挙筋前転術におけるピオクタニン染色の有用性

著者： 福本敦子¹ 吉田和彦¹ 陳進輝¹ 木嶋理紀¹ 廣瀬茂樹¹ 大野重昭¹

所属機関： ¹北海道大学大学院医学研究科眼科学分野

ページ範囲：P.1073 - P.1075

要約　目的：上眼瞼挙筋前転術におけるゲンチアンバイオレット（ピオクタニン^®）染色の有用性の報告。対象と方法：上眼瞼挙筋前転術を行った先天眼瞼下垂6例7眼を対象とした。年齢は1年5か月～5年2か月（平均3年2か月）である。挟瞼器を使い，上眼瞼挙筋と眼窩隔膜を剝離する際に，結膜側から上眼瞼挙筋をゲンチアンバイオレットで染色し，上横走靭帯までの部分を同定できるようにした。結果：全例で上眼瞼挙筋の剝離と上横走靭帯の同定ができた。術中に眼窩隔膜や上眼瞼挙筋の穿孔はなかった。結論：眼瞼下垂手術で上眼瞼挙筋前転術のゲンチアンバイオレットによる染色は有用である。

参考文献

1）永田　誠（監修），松村美代・黒田真一郎・溝口尚則・他（編）：眼科マイクロサージェリー．第5版．153-168，エルゼビア・ジャパン，東京，2005

2）野田実香：眼瞼下垂（4）眼瞼挙筋短縮術・Whitnall靱帯吊り上げ術．臨眼　60：1358-1365，2006

3）清水昊幸・丸尾敏夫・久保田伸枝：眼瞼下垂．眼科手術書7．64-78，金原出版，東京，1995