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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻6号

2007年06月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

髄膜炎と副鼻腔炎に合併した両眼窩筋円錐内膿瘍の1例

著者: 吉川智穂1 磯村悠宇子1 山田雅子1 亀谷崇1 加藤千春2 田邊吉彦3

所属機関: 1名鉄病院眼科 2名鉄病院神経内科 3社会保険中京病院眼科

ページ範囲:P.1077 - P.1082

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要約 目的:細菌性髄膜炎と副鼻腔に続発した両眼の眼窩筋円錐内膿瘍の1症例の報告。症例:52歳男性が意識不明の状態で発見された。その3日前から体調が不良であった。細菌性髄膜炎,播種性血管内凝固症,両篩骨洞炎,両蝶形骨洞炎があった。両側の眼窩内に複数の腫瘤があり,眼窩筋円錐内の腫瘤が視神経を圧迫し,網膜皺襞と眼球運動障害があった。眼窩内の病変は抗菌薬には反応せず,手術による排膿で治癒した。Streptococcus milleri groupが検出され,膿瘍と診断された。結論:篩骨洞炎と蝶形骨洞炎から細菌感染が血行性に進展し,髄膜炎と両側の眼窩筋円錐内腫瘍が生じたものと考えられる。抗菌薬投与が無効であったのは,眼窩内膿瘍が被膜に覆われていたためと推定される。

参考文献

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2)高村 浩・山下英俊:山形大学眼科における過去14年間の眼窩腫瘍の検討.あたらしい眼科 17:1587-1592,2000
3)荻野晴義・吉原 睦・斉藤紀子・他:過去16年間における眼窩腫瘍94例の検討.臨眼 54:923-928,2000
4)後藤 浩・阿川哲也・臼井正彦:眼窩腫瘍218例の臨床統計.臨眼 56:297-301,2002
5)橋本雅人・大塚賢二・中川 喬:札幌医科大学過去17年間における眼窩腫瘍172例の統計学的検討.眼紀 51:163-167,2000
6)Schick U, Hassler W:Neurosurgical management of orbital inflammations and infections. Acta Neurochir 146:571-580, 2004
7)Chandler JR, Langenbrunner DJ, Stevens ER:The pathogenesis of orbital complications in acute sinusitis. Laryngoscope 90:1414-1428, 1980

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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