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連載 眼科医のための救急教室・6
眼科救急と救急医療の「現在と未来」
著者: 和田崇文1 箕輪良行1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学救急医学
ページ範囲:P.1098 - P.1100
文献購入ページに移動はじめに
1977年,厚生省から救急医療対策実施要綱が発表され,救急医療は初期(第一次),第二次,第三次救急医療体制に層別化され,人口100万人に1施設の割合で救命救急センターが整備されました。多くの人員と医療資源を必要とする重症多発外傷や意識障害,ショック,呼吸不全などの治療に救命救急センターが果たした功績は大きいといえるでしょう。しかし,医療サイドの分類である「一次,二次,三次救急」の層別化は,時に患者側にはわかりにくいところがあります。必ずしも歩いてきた患者が軽症で,救急車で来院した患者が重症ではないため,層別化にこだわると,真の重症患者の見落としにつながる可能性があることは少しでも救急医療に携われば誰もが経験するところです。
一方,道路交通法の改正により,交通事故件数は増加しているものの,重症交通外傷は減少しました。そして人口の高齢化と介護保険の導入により,高齢患者は長期入院治療から在宅や介護施設入所に切り替えられています。一見理想的にみえるこのシステムも,容態が急変すれば救急車で医療機関を受診することとなり,かくて救急部門に高齢者が集中し,救急システムも変革を余儀なくされます。
1977年,厚生省から救急医療対策実施要綱が発表され,救急医療は初期(第一次),第二次,第三次救急医療体制に層別化され,人口100万人に1施設の割合で救命救急センターが整備されました。多くの人員と医療資源を必要とする重症多発外傷や意識障害,ショック,呼吸不全などの治療に救命救急センターが果たした功績は大きいといえるでしょう。しかし,医療サイドの分類である「一次,二次,三次救急」の層別化は,時に患者側にはわかりにくいところがあります。必ずしも歩いてきた患者が軽症で,救急車で来院した患者が重症ではないため,層別化にこだわると,真の重症患者の見落としにつながる可能性があることは少しでも救急医療に携われば誰もが経験するところです。
一方,道路交通法の改正により,交通事故件数は増加しているものの,重症交通外傷は減少しました。そして人口の高齢化と介護保険の導入により,高齢患者は長期入院治療から在宅や介護施設入所に切り替えられています。一見理想的にみえるこのシステムも,容態が急変すれば救急車で医療機関を受診することとなり,かくて救急部門に高齢者が集中し,救急システムも変革を余儀なくされます。
参考文献
1)堀 進悟・相川直樹:研究の場としてのERの可能性.救急医学 29:1176-1182,2005
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