臨床眼科61巻7号

2007年07月発行

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(5)

原著

ボリコナゾールが奏効した角膜真菌症の1例

著者： 竹澤美貴子¹ 小幡博人¹ 石崎こずえ¹ 猪木多永子¹ 山上博子² 梯彰弘² 茨木信博¹ 水流忠彦¹

所属機関： ¹自治医科大学眼科学講座 ²自治医科大学附属大宮医療センター眼科

ページ範囲：P.1267 - P.1270

文献概要

要約　目的：重篤な角膜真菌症に対して抗真菌薬ボリコナゾールを使用した症例の報告。症例：63歳女性の右眼に角膜潰瘍が生じた。17日間の治療が奏効せず，当科を紹介された。所見と経過：視力は右手動弁，左1.2で，右眼角膜のほぼ全面が混濁し，前房蓄膿と大きな角膜潰瘍があった。病巣からフサリウム属が検出された。ボリコナゾール点滴，ピマリシン眼軟膏，0.2％ボリコナゾールの1時間毎の点眼を開始した。第11病日からボリコナゾール点眼の濃度を1％に変更してから角膜潰瘍が軽快しはじめた。第17病日に打撲により眼球破裂が生じ，全層角膜移植を行った。得られた角膜に真菌は一部のみにあった。結論：フサリウムによる角膜真菌症に1％ボリコナゾールの点眼が奏効することがある。

参考文献

による角膜真菌症の1例．眼紀　51：638-642，2000

による角膜潰瘍の1例．臨眼　58：1205-1208，2004

による角膜真菌症の1症例．あたらしい眼科　20：835-838，2003

4）加藤　葵・本間龍介・井上　順・他：角膜穿孔に至ったフザリウムによる角膜真菌症に術後ボリコナゾールが有効であった1例．臨眼　60：2059-2062，2006

keratitis with cornea transplantation and topical and systemic voriconazole. Clin Infect Dis　40：e110-e112, 2005

6）Reis A, Sundmacher R, Tintelnot K et al：Successful treatment of ocular invasive mould infection（fusariosis）with the new antifungal agent voriconazole. Br J Ophthalmol　84：932-933, 2000

7）Polizzi A, Siniscalchi C, Mastromarino A et al：Effect of voriconazole on a corneal abscess caused by fusarium. Acta Ophthalmol Scand　82：762-764, 2004