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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻7号

2007年07月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

ボリコナゾール(ブイフェンド®)で加療した侵襲性アスペルギルス症による眼窩先端部症候群の1例

著者: 中真衣子1 安積淳1 根木昭1 金澤健司2 石田春彦3

所属機関: 1神戸大学大学院医学系研究科外科系眼科学 2神戸大学大学院医学系研究科総合診療内科学 3谷口耳鼻咽喉科医院

ページ範囲:P.1285 - P.1288

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要約 目的:侵襲性アスペルギルス症による眼窩先端部症候群をボリコナゾールで加療した症例の報告。症例:71歳女性が数週前からの右眼窩の深部痛,視力低下,色覚異常で受診した。所見と経過:矯正視力は右0.07,左1.0であり,右眼に外転障害,全身的に糖尿病があった。画像診断で副鼻腔の真菌症が疑われ,病巣は眼窩先端部に及んでいた。篩骨洞と蝶形骨洞の開放術が行われたが,4週後に右眼視力は零に低下した。その後侵襲性アスペルギルス症の診断が確定し,ボリコナゾール1日量500mgの全身投与を開始した。視力は指数弁になり,眼球運動は正常化した。治療開始から1年後の現在まで病像は安定している。結論:侵襲性副鼻腔と眼窩アスペルギルス症には,ボリコナゾールの全身投与が奏効することがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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