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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻7号

2007年07月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

著しい強膜肥厚を認めた後部強膜炎の1例

著者: 小山ひとみ1 廣渡崇郎1 武田桜子1 新妻卓也1 松原正男1

所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター眼科学教室

ページ範囲:P.1289 - P.1293

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要約 目的:病理組織学的に著しい強膜の肥厚があった後部強膜炎症例の報告。症例:66歳女性が2か月前からの左眼の眼痛と充血で受診した。既往歴として慢性関節リウマチがあった。所見と経過:矯正視力は左右とも1.2で,左眼に結膜と上強膜の充血があった。副腎皮質ステロイド薬の点眼と内服で軽快せず,2か月後に強い漿液性網膜剝離が発症した。CT検査で強膜肥厚があり,後部強膜炎と診断した。副腎皮質ステロイドのパルス療法を2回行ったが,初診から3年後に硝子体出血とルベオーシスが生じ,その18か月後に疼痛のため眼球が摘出された。摘出眼球には眼軸長の3分の1に及ぶ強膜の肥厚があり,病理学的に慢性肉芽腫性炎症と判定された。結論:強膜が著しく肥厚していた原因として,強膜炎が長期に持続し,組織の壊死と再生が繰り返していたことが推定される。

参考文献

1)Fuchs E:Scleritis posterior. Ber dtsch ophthalmol Ges 30:71-77, 1902
2)鈴木参郎助:後部強膜炎.眼科プラクティス8(ぶどう膜炎診療のしかた):159-163,1993
3)南部浩之・高橋寛二・木内克治・他:眼内腫瘍が疑われ,眼球摘出に至った後部強膜炎の2例.眼科 41:1593-1600,1999
4)森 祥平・齋藤 航・横井匠彦・他:移動性網膜下液を伴った後部強膜炎の1例.臨眼 58:2313-2316,2004
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6)前田祥恵・大黒 浩・木井利明・他:後部強膜炎の1例.臨眼 52:407-410,1998
7)田治えりか・小菅恵子・栃久保哲男:卵巣癌を伴った難治性後部強膜炎の1例.あたらしい眼科 21:551-554,2004
8)三木統夫・中西祥治・井東弘子・他:後部強膜炎の2症例.眼臨 84:992-996,1990
9)後藤 浩・高村健太郎・坂井潤一・他:難治性後部強膜炎の1例.眼紀 39:460-467,1988
10)仁木利郎:細胞障害の機序とその修復.坂本穆彦(編):標準病理学.第3版.9-30,医学書院,東京,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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