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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻7号

2007年07月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

後部強膜炎を合併した再発性多発軟骨炎の1例

著者: 谷村真知子1 横山勝彦1 安部ひろみ1 木許賢一1 今泉雅資1 中塚和夫1

所属機関: 1大分大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.1299 - P.1303

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要約 目的:再発性多発軟骨炎に後部強膜炎が併発した症例の報告。症例:73歳女性が急激な右眼視力低下と眼球運動痛で受診した。5年前に両側の耳介軟骨炎で再発性多発軟骨炎と診断され,プレドニゾロンと免疫抑制剤ミゾリビンで寛解し,維持療法中であった。3年前に右眼の上強膜炎が反復した。矯正視力は右0.3,左1.2であり,右眼に虹彩毛様体炎,漿液性網膜剝離,脈絡膜皺襞があり,画像検査で眼球後壁の肥厚と視神経周囲炎があった。後部強膜炎と診断し,プレドニゾロンを増量してミゾリビンは継続した。発症から5日後に眼内所見は軽快し,以後10か月後の現在まで再発はない。結論:再発性多発軟骨炎では加療中であっても,晩期合併症として後部強膜炎が生じることがあるので注意が必要である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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