icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻8号

2007年08月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

脳腫瘍摘出後に一過性視力低下を示したうっ血乳頭の1例

著者: 濱島紅1 菅澤淳1 江富朋彦1 平尾真実1 渡邊敏夫1 奥英弘1 池田恒彦1 黒岩敏彦2

所属機関: 1大阪医科大学眼科学講座 2大阪医科大学脳神経外科学講座

ページ範囲:P.1449 - P.1453

文献購入ページに移動
要約 目的:うっ血乳頭で発見された脳腫瘍の摘出後に視力が一過性に低下した症例の報告。症例:49歳女性が4か月前からの両眼の霧視と,1か月前からの頭痛で受診した。経過:矯正視力は右0.5,左1.0であり,両眼にうっ血乳頭があった。髄膜腫が疑われ摘出術が行われた。手術の直後は視力が改善したが,51日後に右0.08,左0.5に低下した。両眼の視神経乳頭は蒼白化し,両眼に傍中心暗点,右眼に上方視野欠損があった。血管拡張薬と神経保護薬などの内服開始から47日後に視力は右0.2,左0.8になった。手術から3年後の現在,視力は右0.7,左1.0で安定している。結論:うっ血乳頭と視機能障害がある脳腫瘍では,頭蓋内圧が正常化しても視神経が脆弱化している可能性がある。厳重な経過観察と,状況に応じ血管拡張薬や神経保護薬などを考慮する必要がある。

参考文献

1)敷島敬悟・河合一重:乳頭浮腫をきたす疾患.眼科 41:1119-1125,1999
2)山本 肇・中尾雄三・日比野剛・他:視力低下を主訴に眼科を初診した巨大脳腫瘍の2症例.眼臨 100:312-314,2006
3)千原悦夫:うっ血乳頭発生のメカニズムと軸索輸送.神眼 2:233-238,1985
4)Hayreh SS:Optic disc edema in raised intracranial pressure. Arch Ophthalmol 95:1553-1565, 1977
5)中尾雄三:うっ血乳頭の臨床像.神眼 2:226-232,1985
6)高橋俊博:乳頭浮腫(うっ血乳頭)の臨床と病理.神眼 2:239-242,1985
7)中尾雄三・大橋裕一・堀 正治:うっ血乳頭による二次性視神経萎縮.眼臨 72:522-526,1978
8)横川由起子・羽場勝彦・池田正人:減圧手術後に高度視機能障害が改善したうっ血乳頭を伴う小脳腫瘍症例.臨眼 54:344-347,2000
9)Wall M:Idiopathic intracranial hypertension:mechanisms of visual loss and disease manage-ment. Seminars in Neurology 20:89-95, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら