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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻8号

2007年08月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

先天乳頭上膜の収縮により黄斑円孔をきたした1例

著者: 米田丞1 安宅伸介1 埜村裕也1 矢寺めぐみ1 村澤牧子1 河野剛也1 白木邦彦1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科視覚病態学

ページ範囲:P.1525 - P.1528

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要約 目的:先天乳頭上膜の収縮により黄斑円孔が生じた症例の報告。症例:21歳女性が左眼の変視症で受診した。矯正視力は右1.5,左1.0であり,左眼眼底に乳頭から耳上側にかけて線維膜とその牽引による網膜皺襞があった。6年後に左眼視力が0.5に低下し変視症が増悪した。眼底には黄斑円孔があった。硝子体手術,内境界膜剝離術,網膜上膜除去術を行った。術中所見として,後部硝子体剝離はなく,網膜と後部硝子体膜と網膜の癒着は強固ではなかった。術後5か月で視力は1.0になり,変視症は軽快し黄斑円孔は閉鎖していた。結論:黄斑円孔が先天乳頭上膜の収縮により発症する可能性がある。

参考文献

1)横山利幸:硝子体.硝子体動脈遺残.眼科診療プラクティス編集委員(編):眼科診療ガイド.424,文光堂,2004
2)横山利幸・足立和孝・加藤和夫・他:7才女児に見られた乳頭上膜様物による牽引性網膜剝離の1例.眼臨 88:407-409,1994
3)東 範行:朝顔症候群と類縁疾患.眼科 31:235-246,1989
4)Nakano T, Uemura A, Kanda S et al:A nontraumatic macular hole in a 10-year-old girl. Jpn J Ophthalmol 49:520-522, 2005
5)野呂 充:牽引乳頭・鎌状網膜剝離を生じる小児眼疾患.日本の眼科 77:1221-1225,2006
6)稲原芳生・近藤寛之・大島健司:家族性滲出性硝子体網膜症の家族例の臨床所見.FZD4変異の有無による検討.眼臨 99:1-3,2005
7)横山利幸:第1次硝子体過形成遺残.眼科診療プラクティス編集委員(編):眼科診療ガイド.425-426,文光堂,2004
8)玉城宏一・安田尚美・加藤和男:第1次硝子体過形成遺残の1家系について.眼紀 40:1031-1035,1989

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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