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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻8号

2007年08月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(6) 専門別研究会

眼窩

著者: 小出良平1

所属機関: 1昭和大学

ページ範囲:P.1532 - P.1533

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 第1題は,比嘉眼科病院の恩田秀寿先生による,眼窩吹き抜け骨折における眼球運動障害の評価法についての発表であった。眼球運動障害の評価は,手術適応,術前・術後の改善度を評価するのに重要であるが,現在のところ,評価法が統一されていない。そこで昭和大学医学部眼科学教室で行われている評価法が示された。障害の程度を自覚的複視,両眼単一注視野検査,Hess赤緑試験を組み合わせ,重症度をGrade 0~5の6段階に分類した。複視の自覚のないものをGrade 0,複視の自覚はあるがHessの異常を認めないものをGrade 1,Hessの異常があり,その異常は30°以内のものをGrade 2,30°以上で眼球運動障害の方向が上下方向のみのものをGrade 3,上下方向に水平方向を伴うが正面視での複視がないものをGrade 4,正面視での複視があるものをGrade 5とし評価しているとの報告であった。

 第2題は,昭和大学の井上吐州先生が,眼窩骨折の手術時期と予後について発表された。術後複視の消失率および残存率を,(1)年齢,(2)性別,(3)手術までの期間,(4)術前の複視の重症度,(5)骨折の性状,(6)骨折部位の項目別に統計をとった。(1)および(2)に有意差はなかった。(3)は,受傷1週間以内の手術は1週間~30日以内の手術より複視の残存率が少なかった。(4)は,重症度が高いほど複視が残った。(5)は,trap door typeよりdefect typeのほうが複視が残った。(6)では,眼窩底の単独骨折より,眼窩底および内側壁複合骨折や眼窩縁を含む眼窩壁骨折のほうがより複視が残存したとの結果であった。眼窩骨折は早期に手術を行ったほうが予後良好であるが,骨折の性状や部位も予後に影響すると報告された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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