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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻9号

2007年09月発行

連載 眼科医のための遺伝カウンセリング技術・11

遺伝カウンセリングと倫理問題(2)

著者: 千代豪昭1

所属機関: 1お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科特設遺伝カウンセリング講座

ページ範囲:P.1611 - P.1622

文献概要

はじめに

 前回の連載でビーチャムとチルドレスの原理・原則主義を紹介し,医療現場における倫理的課題の分析方法について述べた。倫理規範は,人間が社会生活を行うために善悪を基準に決めた基本的なルールに過ぎないと割り切って話を進めたので,「倫理」という言葉のなかに崇高な人間性とか道徳性を重視する読者には抵抗を感じられた方もおられたのではないかと思う。しかし,倫理学を背景とした理論や分析方法が,医療現場における医療従事者の現場判断に少しでも役立つことがご理解いただけたら幸いである。

 今後,先端科学はますます発達するだろう。先端科学がわれわれの社会にどのような影響を与えるか,厳密な将来予測が大切である。倫理学は先端科学の将来予測を行うツールとしても有用であるというのが筆者の主張である。20世紀になって発達した応用倫理学の一分野である生命倫理学は生命科学,特に医療科学を主な舞台として発達してきた。遺伝医療の現場では生命倫理学で議論される材料に日常茶飯事のように遭遇する。遺伝カウンセラーは毎日のように倫理的課題に直面しているのである。

 今回の連載では日常の事例から倫理分析の実際を紹介したい。なお,事例の紹介については個人情報保護の立場から,個人データを一部変えてあることをお断りしておきたい。

参考文献

1)エンゲルハート・ヨナス・他:加藤尚武・飯田亘之(編):バイオエシックスの基礎.欧米の「生命倫理論」.東海大学出版会,神奈川,1996
2)厚生省健康政策局医事課(編):生命と倫理について考える.生命と倫理に関する懇談報告.医学書院,東京,1997
3)今井道夫:生命倫理学入門.産業図書,東京,1999
4)トムLビーチャム:立木教夫・永安幸正(訳):生命医学倫理のフロンティア.行人社,東京,1999
5)今井道夫・香川和晶:バイオエシックス入門.東信堂,東京,1999
6)赤林 朗(編):入門・医療倫理Ⅰ.勁草書房,東京,2005
7)菅野純夫:ゲノム医科学(編):医学研究倫理指針ハンドブック(ヒトゲノム・遺伝子解析倫理指針集).2003
8)船戸正久・田村正徳:重症障害新生児医療のガイドライン作成のための基礎的研究―重症障害新生児の予後予測と緩和的医療の研究(厚生労働省・成育医療研究委託事業:NICUにおける緩和的ケア―赤ちゃんとご家族に対する医療従事者の配慮.2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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