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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻9号

2007年09月発行

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(7)

原著

著明な囊胞状涙囊炎に対し経鼻的涙囊鼻腔吻合術を施行した10例

著者: 福地麗1 野瀬明日香1 矢部比呂夫1

所属機関: 1東邦大学医学部眼科学第二講座

ページ範囲:P.1665 - P.1668

文献概要

要約 背景:顕著な囊胞状涙囊炎がある鼻涙管閉塞症には経皮的涙囊鼻腔吻合術が一般的な手術法であった。しかし膿が貯溜し炎症が強い涙囊部に切開を行うことは,侵襲が強く,癒着や炎症が遷延化しやすい。目的:重篤な囊胞状涙囊炎に対する経鼻的涙囊鼻腔吻合術の報告。症例:過去4年間に経鼻的涙囊鼻腔吻合術を行った10例で,すべて片側に発症していた。男性1例,女性9例で,年齢は54~92歳(平均65歳)である。結果:6か月以上の経過観察で,涙囊炎は全例で改善し,再発はなかった。涙囊圧亢進が原因と推測される涙小管閉塞が5例に残った。結論:症例によっては顕著な囊胞状涙囊炎があっても,涙囊圧を管理して手術操作を行えば,経鼻的涙囊鼻腔吻合術は施行可能かつ有効である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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