臨床眼科61巻9号

2007年09月発行

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(7) 原著

井上眼科病院における身体障害者手帳の申請

著者： 引田俊一¹ 井上賢治¹ 南雲幹¹ 石井祐子¹ 若倉雅登¹ 井上治郎¹

所属機関： ¹井上眼科病院

ページ範囲：P.1685 - P.1688

要約　目的：視覚障害による身体障害者手帳を申請した症例の特徴の報告。対象：2005年の1年間に，東京にある井上眼科病院を通じて視覚障害による身体障害者手帳を申請した156名を検索の対象とした。結果：男性79例，女性77例で，年齢は11～96歳（平均62歳）であった。疾患の内訳は，緑内障36例（23％），網膜色素変性27例（17％），黄斑変性19例（12％），網脈絡膜萎縮17例（11％），視神経症15例（10％）などであった。緑内障と視神経症では女性よりも男性，網脈絡膜萎縮と糖尿病網膜症では男性よりも女性の比率が優位に高かった。該当等級は1級と2級を合せると91例（58％）であった。結論：視覚障害による身体障害者手帳を申請した原因疾患は多岐にわたっていた。等級は重症例が多かった。

参考文献

1）日本眼科医会（編）：あきらめないでロービジョン．社会復帰への道，1991

2）厚生省社会・援護局：平成3年度身体障害者実態調査結果の概要（平成3年11月1日調査）．厚生の指標 40：32-35，1993

3）石井祐子・南雲　幹・神崎雅子・他：井上眼科病院におけるロービジョンケアシステム「目の相談室」の評価．眼紀 53：548-552，2002

4）中村秋穂・細野佳津子・石井祐子・他：井上眼科病院緑内障外来におけるロービジョンケア．あたらしい眼科 22：821-825，2005

5）佐渡一成：地方の一般病院におけるロービジョンケア．日本の眼科 68：1163-1169，1997

6）中江公裕・小暮文雄・長屋幸郎・他：わが国における視覚障害の現況．厚生の指標 38：13-22，1991

7）中江公裕・増田寛次郎・妹尾　正・他：わが国における視覚障害の現状．厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業．平成17年度総括・分担研究報告書2006

8）田村久実子・小川佳子・畑山由比乃・他：済生会新潟第二病院における身体障害者手帳（視覚）該当者へのアンケート調査．臨眼 54：1091-1094，2000

9）谷戸正樹・三宅智恵・大平明弘：視覚障害者における身体障害者手帳の取得状況．あたらしい眼科 17：1315-1318，2000

10）高橋　広：北九州市内19病院眼科における視覚障害者の実態調査（第1報）―視覚障害者と日常生活訓練．臨眼 52：1055-1058，1998

11）堀田一樹・佐生亜希子：視覚障害による身体障害者手帳取得の現況と課題．日本の眼科 74：1021-1023，2003

12）久保若奈・中村秋穂・石井祐子・他：緑内障患者の身体障害者手帳の申請．臨眼 61：1007-1011，2007