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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻9号

2007年09月発行

文献概要

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(7) 原著

産業医科大学病院における最近10年間の未熟児網膜症の検討

著者: 森田啓文1 久保田敏昭1 西尾陽子1 田原昭彦1

所属機関: 1産業医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1689 - P.1693

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要約 目的:過去10年間に当院で発症した未熟児網膜症の報告。対象と方法:2005年までの10年間に産業医科大学病院の新生児集中治療室に入院し,眼底検査を受けた生下時体重1,500g以下の217例を対象とした。在胎期間は22~36週(平均29週)であり,出生体重は440~1,492g(平均1,071g)であった。結果:未熟児網膜症の発症率は70.5%,治療を要した症例は22.5%であり,在胎期間が短く,出生体重が低いほど,発症率と要治療率が高かった。短い在胎週数,低い出生体重,Apgarスコアの1分と5分値,無呼吸発作,呼吸窮迫症候群,人工呼吸管理,脳室内出血,輸血のいずれもが発症因子であった。短い在胎週数,低い出生体重,Apgarスコアの1分と5分値,脳室内出血,輸血のいずれもが重症化因子であった。結論:出生体重が1,500g未満の新生児では,未熟な児ほど未熟児網膜症の発症率と要治療率が高かった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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