臨床眼科61巻9号

2007年09月発行

特集 第60回日本臨床眼科学会講演集(7) 原著

透析前後の眼球計測値の変化

著者： 大萩豊¹² 松浦豊明² 岡本全弘² 桝田浩三² 原嘉昭²

所属機関： ¹西の京病院眼科 ²奈良県立医科大学眼科学教室

ページ範囲：P.1695 - P.1698

要約　目的：血液透析前後の眼球計測値の変化の報告。対象と方法：慢性腎炎に対し1年以上前から血液透析を受けている10例20眼を対象とした。男性4名，女性6名であり，年齢は平均60±8歳である。眼圧は非接触眼圧計，眼球の形状はPentacam^(R)で測定した。結果：眼圧には透析前後で有意な差はなかった。角膜曲率半径は，強主経線と弱主経線ともに変化せず，中心角膜厚にも変化はなかった。前房深度は透析前2.96±0.71mm，透析後2.88±0.72mmで有意に減少した。前房容積は透析前152.2±49.4μm³，透析後135.2±34.5μm³で有意に減少した。結論：前房深度と前房容積が透析後に減少した原因として，透析中に水が眼内から眼外に移動した可能性がある。

参考文献

1）善本三和子・松元　俊：糖尿病透析患者における透析導入後の糖尿病網膜症および視力の変化．日眼会誌 110：271-275，2006

2）岡田克樹・柴田哲夫・三島　弘：人工血液透析ごとに眼圧上昇を繰り返す血管新生緑内障の2例．眼臨 83：749-752，1989

3）福本幸司・林　正和・塩田　洋・他：血液透析後のみ眼圧上昇をきたした開放隅角緑内障の1症例．眼科 43：93-96，2001

4）Kollarits CR, Shapiro RS, Swann ER et al：Effect of hemodialysis on selected physical ocular parame-ters. Metab Pediatr Ophthalmol 5：73-76, 1981

5）三島一晃：透析と眼科検査，眼圧上昇 眼科医から透析医へ．臨牀透析 21：701-705，2005

における閉塞隅角緑内障眼の前眼部形状．日眼会誌 110：398-403，2006