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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科61巻9号

2007年09月発行

文献概要

臨床報告

Clostridium perfringensによる内因性全眼球炎の1例

著者: 高橋明子1 鈴木善久1 杉田糾2 浅見哲2 杉田二郎2 寺崎浩子2

所属機関: 1岐阜県立多治見病院眼科 2名古屋大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1761 - P.1765

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要約 目的:Clostridium perfringensによる内因性全眼球炎の症例の報告。症例と経過:87歳女性が4日前からの心窩部痛と嘔吐,2日前からの左眼視力障害と眼痛で受診した。矯正視力は右0.4,左光覚なしであり,眼圧は右12mmHg,左56mmHgで,急性閉塞隅角緑内障と診断し,レーザー虹彩切開術を行った。翌日前房出血が生じ,CT検査で硝子体内にガス像が認められた。全身検査で胆囊炎と肝膿瘍が発見された。内科治療で全身状態は改善したが,受診の4日後に角膜が穿孔し,眼球内容除去術が行われた。眼球内容物から嫌気性グラム陽性桿菌であるC. perfringensが検出された。結論:眼内にガス像が見られるときには,ガス壊疽の原因でもある本菌による感染症の可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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