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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻1号

2008年01月発行

文献概要

連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・10

春季カタル

著者: 合田千穂1 北市伸義1 大野重昭1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座眼科学分野

ページ範囲:P.22 - P.25

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はじめに

 カタル(catarrh)とは,ギリシャ語の「下に」を意味するcata-と「流れる」を表すreoに由来するとされる。古代ギリシャ医学では脳には粘液がたまっており,それが過剰になると下に流れ出すと考えられた。さらにカタルには目,鼻,耳,肺,腹,筋肉,関節の7つの流れがあるとされた。つまり「カタル」は分泌物が多い病態を表す。現在も眼のほかに鼻カタル,中耳カタル,気管支カタル,胃(腸)カタル,咽頭カタルなどの用語が用いられている。

 春季カタル(vernal keratoconjunctivitis:VKC)はアレルギー性結膜疾患の1つで,10歳以下の男児に多くみられる。アレルギー結膜疾患診療ガイドラインでは,結膜に増殖性変化がみられるアレルギー性結膜疾患と定義される1)。結膜の増殖変化とは眼瞼結膜の乳頭増殖,増大あるいは輪部結膜の腫脹や堤防状隆起をさす。眼瞼の乳頭増殖は石垣状乳頭増殖と表現される。疾患名にある「春季」の由来は春から夏にかけて症状が悪化する患者が多いためで,世界的には温帯気候,特に地中海地域に患者数,重症例がともに多い2)

参考文献

1)日本眼科アレルギー研究会:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン.日眼会誌 110:99-140,2006
2)International Ocular Inflammation Society. Ocular Surface Inflammatory Diseases. BenEzra D, Ohno S(ed):Ocular Surface Inflammation. 85-198, Highlights of Ophthalmology International, Panama, Rep of Panama, 2003
3)合田千穂・大野重昭:眼のアレルギー.アレルギーの臨床 26:37-40,2006
4)Kitaichi N, Shimizu T, Honda A et al:Increase in macrophage migration inhibitory factor levels in lacrimal fluid of patients with severe atopic dermatitis. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244:825-828, 2006
5)北市伸義・大野重昭:眼科アレルギーの薬物治療.難病と在宅ケア 13:34-37,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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