文献詳細
連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・10
文献概要
はじめに
カタル(catarrh)とは,ギリシャ語の「下に」を意味するcata-と「流れる」を表すreoに由来するとされる。古代ギリシャ医学では脳には粘液がたまっており,それが過剰になると下に流れ出すと考えられた。さらにカタルには目,鼻,耳,肺,腹,筋肉,関節の7つの流れがあるとされた。つまり「カタル」は分泌物が多い病態を表す。現在も眼のほかに鼻カタル,中耳カタル,気管支カタル,胃(腸)カタル,咽頭カタルなどの用語が用いられている。
春季カタル(vernal keratoconjunctivitis:VKC)はアレルギー性結膜疾患の1つで,10歳以下の男児に多くみられる。アレルギー結膜疾患診療ガイドラインでは,結膜に増殖性変化がみられるアレルギー性結膜疾患と定義される1)。結膜の増殖変化とは眼瞼結膜の乳頭増殖,増大あるいは輪部結膜の腫脹や堤防状隆起をさす。眼瞼の乳頭増殖は石垣状乳頭増殖と表現される。疾患名にある「春季」の由来は春から夏にかけて症状が悪化する患者が多いためで,世界的には温帯気候,特に地中海地域に患者数,重症例がともに多い2)。
カタル(catarrh)とは,ギリシャ語の「下に」を意味するcata-と「流れる」を表すreoに由来するとされる。古代ギリシャ医学では脳には粘液がたまっており,それが過剰になると下に流れ出すと考えられた。さらにカタルには目,鼻,耳,肺,腹,筋肉,関節の7つの流れがあるとされた。つまり「カタル」は分泌物が多い病態を表す。現在も眼のほかに鼻カタル,中耳カタル,気管支カタル,胃(腸)カタル,咽頭カタルなどの用語が用いられている。
春季カタル(vernal keratoconjunctivitis:VKC)はアレルギー性結膜疾患の1つで,10歳以下の男児に多くみられる。アレルギー結膜疾患診療ガイドラインでは,結膜に増殖性変化がみられるアレルギー性結膜疾患と定義される1)。結膜の増殖変化とは眼瞼結膜の乳頭増殖,増大あるいは輪部結膜の腫脹や堤防状隆起をさす。眼瞼の乳頭増殖は石垣状乳頭増殖と表現される。疾患名にある「春季」の由来は春から夏にかけて症状が悪化する患者が多いためで,世界的には温帯気候,特に地中海地域に患者数,重症例がともに多い2)。
参考文献
1)日本眼科アレルギー研究会:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン.日眼会誌 110:99-140,2006
2)International Ocular Inflammation Society. Ocular Surface Inflammatory Diseases. BenEzra D, Ohno S(ed):Ocular Surface Inflammation. 85-198, Highlights of Ophthalmology International, Panama, Rep of Panama, 2003
3)合田千穂・大野重昭:眼のアレルギー.アレルギーの臨床 26:37-40,2006
4)Kitaichi N, Shimizu T, Honda A et al:Increase in macrophage migration inhibitory factor levels in lacrimal fluid of patients with severe atopic dermatitis. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244:825-828, 2006
5)北市伸義・大野重昭:眼科アレルギーの薬物治療.難病と在宅ケア 13:34-37,2007
掲載誌情報