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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻1号

2008年01月発行

文献概要

文庫の窓から

『難経』

著者: 中泉行弘1 林尋子1 安部郁子1

所属機関: 1研医会

ページ範囲:P.88 - P.90

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秦漢時代からの医学書

 『難経』は時に『八十一難』『黄帝八十一難経』『黄帝八十一難』とも言われる書である。『難経』という書名の初出は,前回話題に取り上げた皇甫謐の著作『帝王世紀』にあるという(『宋以前醫藉攷』)。『素問』を『八十一難』と呼んでいた,という説もあるようだが,多紀元胤は『難経』の語気は素問霊枢より弱く,後漢以後の本と相通じるものが多いので後漢以後編まれたのであろう,としている。また,南京中医学院編の『難経解説』(1987初版)の序文では,張山雷(1872~1934)の「八十一難の本文は,恐らく戦国,秦漢時代に記されたものであろう。各人がそれぞれ専門について述べたもので,一時代の一人の筆によるものではない」という説を紹介し,その考えは妥当なものだろうと推定している。これらの説から,『難経』は秦漢の時代から伝えられた医学を後漢以後にまとめたものといえよう。

 八十一という数をつけたのは『素問』『霊枢』に連なる書であることを表しているとされ,「難」は難しいという意味ではなく,問難の意味であろうということが定説になっている。

参考文献

1)岡西為人:宋以前醫藉攷.1.醫経.古亭書屋,台北,1936
2)服部敏良:平安時代醫学の研究.桑名文星堂,1955
3)岡西為人:中国醫書本草考.井上書店,1974
4)篠原孝一・古典鍼灸研究会(編):難経古注集成.第6巻解題・索引.東洋医学研究会,1982
5)小曽戸洋:中国医学古典と日本.塙書房,1996
6)南京中医学院(編):難経解説.東洋学術出版社,1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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