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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻10号

2008年10月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

網膜血管炎を伴った水痘・帯状ヘルペスウイルスによる虹彩毛様体炎の1例

著者: 東香里1 大野智子1 飛鳥田有里1 伊藤典彦1 石原麻美1 林清文1 中村聡1 水木信久1

所属機関: 1横浜市立大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1661 - P.1665

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要約 目的:水痘・帯状ヘルペスウイルス(VZV)による虹彩毛様体炎の症例の報告。症例:42歳女性が9日前からの左眼の充血と眼痛で受診した。所見:矯正視力は左右眼とも1.2であり,眼圧は右17mmHg,左28mmHgであった。左眼に虹彩炎の所見があった。フルオレセイン蛍光眼底造影で周辺部の網膜から色素漏出があった。前房水からPCR(polymerase chain reaction)でVZVが検出された。単純ヘルペスウイルスとサイトメガロウイルスは陰性であった。対症療法で虹彩炎と眼圧は3週間後に寛解したが,その10日後に毛様充血があり,アシクロビル軟膏の点入で治癒した。隅角に色素沈着があった。結論:急性前部ぶどう膜炎にはVZVによるものがあり,皮膚病変が必発ではない。前房水のPCRによるウイルスの検索が早期診断に有効である。

参考文献

1)林 孝彦・水木信久:ヘルペス性虹彩毛様体炎.水木信久(編):基礎からわかるぶどう膜炎の診かた.247-252,金原出版,東京,2007
2)毛塚剛司:水痘帯状疱疹ウイルス性虹彩毛様体炎.眼科診療プラクティス92(ウイルス性眼疾患の診療):38-41,2003
3)谷合 厚・清水一之・沼賀二郎・他:東大病院眼科の内因性ぶどう膜炎患者の臨床統計(1994~1997年).眼紀 51:564-568,2000
4)Miserocchi E, Waheed NK, Dios E et al:Visual outcome in herpes simplex virus and varicella zoster virus uveitis. Ophthalmology 109:1532-1537, 2002
5)坂井潤一:ヘルペス性ぶどう膜炎.増田寛次郎・宇山昌延・臼井正彦・他(編):ぶどう膜炎.134-145,金原出版,東京,1999
6)Van der Lelij A, Ooijman FM, Kijlstra A et al:Anterior uveitis with sectoral iris atrophy in the absence of keratitis. A distinct clinical entity among herpetic eye diseases. Ophthalmology 107:1164-1170, 2000
7)坂井潤一・薄井紀夫・臼井正彦・他:Polymerase chain reaction法により水痘帯状疱疹ウイルスが検出されたぶどう膜炎の4例.あたらしい眼科 9:447-452,1992
8)Yamamoto S, Tada R, Shimomura Y et al:Detecting varicella-zoster virus DNA in iridocyclitis using polymerase chain reaction:a case of zoster sine herpete. Arch Ophthalmol 113:1358-1359, 1995
9)毛塚剛司:単純ヘルペスウイルス(HSV)・水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)虹彩毛様体炎.大野重昭・小竹 聡(編):やさしいぶどう膜炎の診かた.129-134,南江堂,東京,2003
10)安積 淳:単純ヘルペスウイルス性虹彩毛様体炎.眼科診療プラクティス92(ウイルス性眼疾患の診療):26-27,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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