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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻10号

2008年10月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

久留米大学眼科における12年間のBehçet病の検討

著者: 石井美奈1 田口千香子2 浦野哲2 河原澄枝2 疋田直文2 山川良治2

所属機関: 1公立八女総合病院眼科 2久留米大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1683 - P.1686

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要約 目的:久留米大学眼科でのBehçet病の臨床経過と視力転帰の報告。対象と方法:2006年までの12年間に久留米大学眼科でBehçet病と診断した31例を検索した。全例で7か月~12年(平均6.4±3.8年)の経過を観察した。男性25例,女性6例で,男女比は1:0.24であった。結果:眼症状は21~58歳(平均37.5歳)で出現した。27例が両眼に発症し,4例が片眼性で,完全型9例,不全型22例であった。眼炎症発作は年間0.3~9.5回起こり,免疫抑制薬の投与前は平均5.2回,投与後は2.9回であった。治療としては全例にコルヒチンを投与し,さらに18例(55%)には免疫抑制薬を使用した。神経Behçet病5例のうち4例が最終視力0.1未満であった。視力不良な症例は,免疫抑制薬を使用しているものが有意に多かった。結論:Behçet病の眼炎症発作に対し,免疫抑制薬は有効であるが,最終視力が不良である症例が多い。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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