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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻10号

2008年10月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

多施設による緑内障患者の実態調査―正常眼圧緑内障と原発開放隅角緑内障

著者: 塩川美菜子1 井上賢治1 森山涼1 若倉雅登1 井上治郎1 富田剛司2

所属機関: 1井上眼科病院 2東邦大学医学部眼科学第二講座

ページ範囲:P.1699 - P.1704

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要約 目的:眼科病院または診療所に通院中の緑内障患者について行った治療状況の報告。対象と方法:23施設に通院中の緑内障または高眼圧患者1,935例を調査し,特に原発開放隅角緑内障(POAG)と正常眼圧緑内障(NTG)の薬物治療の違いを検討した。結果:男性768例,女性1,167例で,年齢は9~102歳(平均67歳)であった。POAGが34.4%,NTGが47.4%で,全症例の80%以上が開放隅角であった。薬剤数の平均は,POAGが1.9±1.1剤,NTGが1.4±0.8剤で,前者が有意に多かった。単剤使用例では,両群ともラタノプロストが最も多く,POAGではチモロール,NTGではイソプロピルウノプロストンが有意に多かった。2剤使用例では,両群ともラタノプロストとβ遮断薬の併用が多かった。ラタノプロストとチモロールの併用は,NTGよりもPOAGで有意に多かった。結論:緑内障に対する薬物治療では,POAGでは眼圧下降,NTGでは眼内循環改善が重視されている。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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