icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻10号

2008年10月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

血管新生緑内障に対する強膜トンネル併用円蓋部基底結膜切開線維柱帯切除術の手術成績

著者: 椎名慶子1 宮内修12 輿水純子1 徐汀汀1 田宮優子1 高橋伊満子1 溝田淳1 田中稔1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院眼科 2お花茶屋眼科

ページ範囲:P.1727 - P.1732

文献購入ページに移動
要約 目的:血管新生緑内障に対する濾過手術の結果の報告。対象と方法:血管新生緑内障16例16眼を対象とした。男性14例,女性2例で,平均年齢は58.6±11.5歳である。緑内障の原因は糖尿病網膜症14例,網膜中心静脈閉塞症1例,眼虚血症候群1例であった。強膜トンネル併用円蓋部基底結膜切開線維柱帯切除術を行い,6か月以上の経過を観察した。平均眼圧は28.9±9.1mmHgであった。結果:眼圧は術後1か月後15.7±7.9mmHg,3か月後18.3±9.8mmHg,6か月後16.1±6.3mmHg,最終12.4±4.0mmHgと,いずれも有意に低下した。術後の目標眼圧を20mmHg,15mmHg,術前の70%以下に設定した場合,1年生存率はそれぞれ61.1%,52.1%,68.2%であった。Coxの比例ハザード検定で,術後の眼圧コントロールに有意な影響を与える予後因子は,新生血管緑内障と術前高眼圧であった。結論:強膜トンネル併用円蓋部基底結膜切開線維柱帯切除術により,血管新生緑内障の50~70%の症例で目標眼圧が達成できた。術前の積極的な眼圧下降,血管新生の抑制,術後の管理が重要な要因であった。

参考文献

1)狩野 廉・桑山泰明・水谷泰之:強膜トンネル併用円蓋部基底トラベクレクトミーの術後成績.日眼会誌 109:75-82,2005
2)Agbeja AM, Dutton GN:Conjunctival incisions for trabeculectomy and their relationship to the type of bleb formation:a preliminary study. Eye 1:738-743, 1987
3)新垣里子・石川修作・酒井 寛・他:新生血管緑内障に対する線維柱帯切除術の長期治療成績.あたらしい眼科 23:1609-1613,2006.
4)Jonas JB, Spandau UH, Schlichtenbrede F:Intravitreal bevacizumab for filtering surgery. Ophthalmic Res 39:121-122, 2007
5)Iliev ME, Domig D, Wolf-Schnurrbursch U et al:Intravitreal bevacizumab(Avastin)in the treatment of neovascular glaucoma. Am J Ophthalmol 142:1054-1056, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?