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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻11号

2008年10月発行

文献概要

コラム 私のこだわり

古い治療法を簡単には捨てない

著者: 安藤文隆1

所属機関: 1アイケア名古屋

ページ範囲:P.132 - P.132

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 硝子体手術の進歩で,網膜剝離の治療法もかなり変わってきている。確かに硝子体手術は眼球をあちこちに動かす必要もなく,眼内観察も容易であるため,術者としてはあまりストレスを感じないで手術を行える。しかし,若年者の網膜剝離では,後部硝子体剝離が広範には生じていないことが多く,硝子体手術で処理した場合のほうが,術後増殖性変化を起こすなどして再剝離することが多い。このため,よほどの重症例でない限り強膜内陥術で処理していることに異論はないと思われる。

 これに対して,高度近視眼にみられる黄斑円孔網膜剝離は,特発性黄斑円孔が硝子体手術で閉鎖することがわかってから,硝子体手術が第一選択手術となり,私もそれまで行っていた黄斑プロンベによる黄斑部内陥術はやめて,硝子体手術での治療に変更した。しかし,術後視力が黄斑部内陥術により手術された症例に比べ悪いことに気づき,また以前の方法に戻っていた。その後,硝子体手術では後強膜ぶどう腫のある高度近視眼の黄斑円孔は閉鎖しにくいことがわかり,これに対して黄斑部強膜内陥術では,黄斑円孔部が内陥されていれば硝子体手術や円孔閉鎖術が行われなくても,全例で自然に黄斑円孔は閉鎖していることもわかり(図1),これが術後視力の良・不良の原因であったことが判明した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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