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特集 網膜硝子体診療update Ⅲ.手術治療update
接触型コンタクトレンズを用いた眼内観察
著者: 松代明子1 大島佑介1
所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科感覚器外科学(眼科学)
ページ範囲:P.160 - P.164
文献購入ページに移動広角観察システム(wide-angle viewing systemもしくはpanoramic viewing system)は,1990年代に開発されたものであるが1,2),最近の眼内照明系の進歩によって,その有用性が見直されてきている。従来の硝子体手術では,後極部用レンズあるいは周辺部用レンズを操作する部位によって使い分けることが一般的である。つまり,術中は可視範囲以外に,常に見えていない部分が存在している状態であり,術者は可視範囲以外の眼内の状態を推測しながら手術操作を行う必要があった。これに対して,広角観察システムはその名のとおり,眼内の広い範囲を一度に観察することができるため,可視範囲が飛躍的に増大したことで,より安全で快適な手術が可能となった。
広角観察システムを用いての硝子体手術は,観察部位よってコンタクトレンズを使い分けていた従来の硝子体手術と比較して,手術時間の短縮と手術操作の単純化や安全性の向上がもたらされ,より進化した手術スタイルであるといえる。また,広角観察システムは瞳孔中央部付近で集光する倒像レンズの光学的特性を利用しているため,瞳孔径が多少小さくても比較的に広い眼底観察野を得ることができ,糖尿病患者などの散瞳不良な症例の硝子体手術にはこの広角観察システムが大きな威力を発揮するものである。
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