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特集 網膜硝子体診療update Ⅳ.注目の疾患 3.未熟児網膜症
重症未熟児網膜症の新しい概念
著者: 平岡美依奈1
所属機関: 1国立成育医療センター眼科
ページ範囲:P.294 - P.297
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未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は,1942年にTerryにより瘢痕期の症例が後部水晶体線維増殖症(retrolental fibroplasia:RLF)と報告されたのが最初であり,1951年にHeathが未熟児網膜症の名称を提唱した。1953年にはReeseらが活動期および瘢痕期の病期分類を発表し,その後多数の分類が発表された。わが国では1974年の厚生省研究班報告(通称「厚生省分類」)1)において,活動期未熟児網膜症を比較的緩徐な経過をとり自然治癒傾向の強いⅠ型と,未熟性が強く段階的な進行をとらずに急速な経過で網膜剝離を起こす予後不良なⅡ型に大別した。当時からⅡ型は,単にⅠ型の重症型ではなく,別個の病型として扱われてきた。
しかし,1984年の国際分類2)にはⅡ型の概念は取り入れられず,その代わりに“plus disease”という概念を導入するにとどめた。“Plus disease”とは,周辺部網膜血管の強い怒張,蛇行,虹彩血管の充血,瞳孔強直,透光体混濁に後極部の静脈怒張,動脈蛇行が高度な場合をさすが,これはⅠ型未熟児網膜症が進行してきた場合,Ⅱ型未熟児網膜症ともに共通してみられる所見であり,“plus disease”=Ⅱ型ROPとすることはできないことが永田3),馬嶋4,5)らによって繰り返し強調されてきた。
未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は,1942年にTerryにより瘢痕期の症例が後部水晶体線維増殖症(retrolental fibroplasia:RLF)と報告されたのが最初であり,1951年にHeathが未熟児網膜症の名称を提唱した。1953年にはReeseらが活動期および瘢痕期の病期分類を発表し,その後多数の分類が発表された。わが国では1974年の厚生省研究班報告(通称「厚生省分類」)1)において,活動期未熟児網膜症を比較的緩徐な経過をとり自然治癒傾向の強いⅠ型と,未熟性が強く段階的な進行をとらずに急速な経過で網膜剝離を起こす予後不良なⅡ型に大別した。当時からⅡ型は,単にⅠ型の重症型ではなく,別個の病型として扱われてきた。
しかし,1984年の国際分類2)にはⅡ型の概念は取り入れられず,その代わりに“plus disease”という概念を導入するにとどめた。“Plus disease”とは,周辺部網膜血管の強い怒張,蛇行,虹彩血管の充血,瞳孔強直,透光体混濁に後極部の静脈怒張,動脈蛇行が高度な場合をさすが,これはⅠ型未熟児網膜症が進行してきた場合,Ⅱ型未熟児網膜症ともに共通してみられる所見であり,“plus disease”=Ⅱ型ROPとすることはできないことが永田3),馬嶋4,5)らによって繰り返し強調されてきた。
参考文献
1)植村恭夫・塚原 勇・永田 誠・他:未熟児網膜症の診断および治療基準に関する研究―厚生省特別研究費補助金,昭和49年度研究班報告.日本の眼科 46:553-559,1975
2)The Committee for the Classification of Retinopathy of Prematurity:An international classification of retinopathy of prematurity. Arch Ophthalmol 102:1130-1134, 1984
3)永田 誠・植村恭夫・田中靖彦・他:未熟児網膜症国際分類の評価とその問題点.臨眼 40:477-480,1986
4)馬嶋昭生:未熟児網膜症国際分類―その成立経過から利用法まで.眼科 28:211-218,1986
5)馬嶋昭生:未熟児網膜症に関する正しい知識と理解を望む.臨眼 58:58-60,2004
6)Cryotherapy for Retinopathy of Prematurity Cooperative Group:Multicenter trial of cryotherapy for retinopathy of prematurity. Three-month outcome. Arch Ophthalmol 108:195-204, 1990
7)Early Treatment for Retinopathy of Prematurity Cooperative Group:Revised indications for the treatment of retinopathy of prematurity:results of the early treatment for retinopathy of prematurity randomized trial. Arch Ophthalmol 121:1684-1696, 2003
8)Early Treatment for Retinopathy of Prematurity Cooperative Group:The incidence and course of retinopathy of prematurity:Findings from the early treatment for retinopathy of prematurity study. Pediatrics 116:15-23, 2005
9)An International Committee for the Classification of Retinopathy of Prematurity:The international classification of retinopathy of prematurity revisited. Arch Ophthalmol 123:991-999, 2005
10)植村恭夫・馬嶋昭生・永田 誠・他:未熟児網膜症の分類(厚生省未熟児網膜症診断基準,昭和49年度報告)の再検討について.眼紀 34:1940-1944,1983
11)森実秀子:未熟児網膜症第Ⅱ型(激症型)の初期像及び臨床経過について.日眼会誌 80:54-61,1976
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