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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻12号

2008年11月発行

文献概要

臨床報告

最近9年間の未熟児網膜症

著者: 菅達人1 柳川俊博1 清水敏成1 梅津秀夫2

所属機関: 1姫路赤十字病院眼科 2梅津眼科

ページ範囲:P.1895 - P.1899

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要約 目的:未熟児網膜症の発症と治療予後に影響する因子の報告。症例と方法:2006年までの約9年間に診療した未熟児952例を対象とした。体重が2,500g未満で在胎期間が35週未満の新生児を未熟児と定義した。結果:未熟児網膜症は952例中209例(22.0%)に,出生体重が1,000g未満の119例中106例(89.1%)に,1,500g未満の357例中192例(53.8%)に発症した。発症因子は出生時体重(p<0.001)と在胎週数(p<0.001)であった。治療因子は在胎週数(p=0.002),出生時体重(p=0.003),輸血回数(p=0.0436)であった。結論:未熟児網膜症には在胎週数と出生時体重が発症に関与し,これに加え輸血回数が治療予後に影響する。

参考文献

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13)Dani C, Reali MF, Bertini G et al:The role of blood transfusions and iron intake on retinopathy of rematurity. Early Hum Dev 62:57-63, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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