今月の表紙
黄斑低形成
著者:
深尾隆三1
水流忠彦2
所属機関:
1バプテスト眼科クリニック
2自治医科大学眼科
ページ範囲:P.147 - P.147
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症例は11歳男児で,5歳のときに原因不明の視力低下のため紹介され受診した。初診時視力は右0.4(0.5),左1.0(n.c.)で右眼弱視と診断し,弱視に対し左眼遮蔽と眼鏡装用により経過観察となった。右眼視力はその後(0.8)~(1.0)前後で推移したが,6年後に(0.4)に低下したため,改めて眼底を中心に精査を行った。その結果,両眼の眼底において検眼鏡的に中心窩反射および黄斑部輪状反射を認めず,フルオレセイン蛍光眼底造影検査では中心窩周囲の無血管領域が認められなかった。以上から黄斑低形成と診断した。以前にも多くの報告がなされているが,蛍光眼底造影検査において黄斑部の拡大撮影で無血管領野の消失をわかりやすく示したものがなかった。第60回日本臨床眼科学会で山村が「原因不明の弱視として長期観察された黄斑低形成の1例」として報告した(臨眼61:819-822,2007)。
眼底カメラはトプコンTRC50IXにMEGAPLUS CAMERA MODEL 1.4iを装着し,画角35°で撮影を行い,黄斑部領域は適正な光量では暗くなるのでストロボ光量を2段階オーバーに設定した。IMAGEnet2000システムに取り込んだ画像を2倍に拡大処理しA4サイズにプリントとした。