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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻2号

2008年02月発行

文献概要

臨床報告

悪性緑内障が発生した白内障手術後合併症の1例

著者: 橋本浩隆12 筑田眞2 小原喜隆3

所属機関: 1つくば橋本眼科 2獨協医科大学越谷病院眼科 3国際医療福祉大学視機能療法学科

ページ範囲:P.185 - P.188

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要約 目的:白内障の術後に眼球を擦過し,房水流出による悪性緑内障が起こった症例の報告。症例:78歳男性が左眼に超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を受け,その3週間後に右眼に同様な手術を受けた。左眼には上方強角膜切開,右眼には耳側角膜切開が行われた。手術中の合併症はなく,術後の矯正視力は両眼とも0.7であった。右眼手術から1か月後に,右眼の虹彩と眼内レンズが前方に移動し,浅前房化していた。眼圧は低かった。患者は右眼を強く擦ったことを述べた。1週間後にレーザー虹彩切開術,さらに5週間後に虹彩切除術と前部硝子体切除術を行ったが一時的な改善で,再度浅前房をきたし,白内障手術から3か月後にYAGレーザーによる水晶体前囊切開を行った。前房は深くなり,最終的な治癒が得られた。結論:角膜小切開による白内障手術でも悪性緑内障が生じることがある。高齢者での白内障手術では,患者の理解度に応じた術式を選び適切な術後指導をすることが重要である。

参考文献

1)菅澤啓二・藤田久仁彦・武市吉人・他:眼内レンズ挿入術後に毛様体-水晶体囊ブロックによると思われる悪性緑内障が発生した1例.臨眼 43:1189-1192,1989
2)高田百合子・松村美代・兜坂法文・他:YAGレーザー照射による前部硝子体切開が奏効した悪性緑内障の1例.臨眼 42:53-55,1988
3)緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン.第2版.日眼会誌 110:777-814,2006
4)林 研:後発白内障.臨眼 58(増刊):142-147,2004
5)岸本直子・壺井邦彦・田邊麻由子・他:アクリルレンズ挿入術と緑内障の同時手術後に毛様体水晶体囊ブロックを生じた1例.臨眼 53:409-413,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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