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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻2号

2008年02月発行

文献概要

臨床報告

副鼻腔手術35年後に涙囊部へ伸展拡大した術後性篩骨洞囊胞

著者: 佐藤あゆみ1 髙岡紀子1 五嶋摩理1 新妻卓也1 松原正男1

所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター眼科

ページ範囲:P.195 - P.198

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要約 目的:副鼻腔手術後に起こった篩骨洞囊胞により鼻涙管通過障害が生じた症例の報告。症例:49歳男性が3か月前からの左眼流涙で受診した。左眼涙囊部に弾性軟の無痛性腫脹があった。CTで眼球を耳上側に圧排する直径2cmの腫瘤があり,眼窩膿瘍が疑われた。腫瘍部の経皮穿刺で排膿が得られた。2か月後に同一部位の腫瘤が再発した。問診で35年前に副鼻腔手術を受けていたことが判明した。耳鼻科で副鼻腔囊胞が篩骨洞囊胞になったことが確認された。内視鏡下で篩骨洞根治術が行われ,治癒が得られた。結論:副鼻腔囊胞が術後に篩骨洞囊胞になり,その晩期併発症として鼻涙管閉塞が生じることがある。

参考文献

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10)河合 敏・佃  守・加賀田博子:副鼻腔囊胞の日帰り手術.JOHNS 17,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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