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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻3号

2008年03月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著

眼症状を契機に明らかとなった胸腺原発の転移性脈絡膜腫瘍の1例

著者: 木内克治12 山田眞未1 植村芳子3 正健一郎2 大津弥生4 三木克朗2 西村哲哉2 松村美代4

所属機関: 1大阪市立住吉市民病院眼科 2関西医科大学附属滝井病院眼科 3関西医科大学附属枚方病院臨床検査医学科 4関西医科大学附属枚方病院眼科

ページ範囲:P.291 - P.295

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要約 目的:転移性脈絡膜腫瘍を契機として発見された胸腺癌の症例の報告。症例:62歳男性が4日前に突発した左眼の変視症で受診した。矯正視力は右1.0,左1.2であり,左眼黄斑の上耳側に2乳頭径大の漿液性網膜剝離があった。蛍光眼底造影ではこの部位に顆粒状過蛍光があった。17日後にこの部位に黄白色の隆起性病変が生じた。32日後には6乳頭径の大きさになり,視力は0.06になった。全身検索で胸腺癌が発見され,眼病変はこれからの転移性脈絡膜腫瘍と診断された。結論:全身的に悪性腫瘍の既往がなくても,転移性脈絡膜腫瘍が起こることがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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