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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻3号

2008年03月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著

後天性眼瞼下垂として受診した高齢者における術式と術後経過の検討

著者: 五嶋摩理1 兼子美帆1 武田桜子1 川本潔1 松原正男1

所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター眼科

ページ範囲:P.303 - P.305

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要約 目的:高齢者の眼瞼下垂に対する術式と術後経過の報告。対象と方法:過去4年間に後天性眼瞼下垂として手術し,術後1年以上の経過を追跡できた65歳以上の症例を診療録により検索した。118例178側で,男性28例,女性90例であり,年齢は65~88歳(平均74歳)であった。顔面神経麻痺の既往が7例7側,コンタクトレンズの長期使用が1例2側にあった。全例で余剰な皮膚と眼瞼組織切除による眼瞼形成術を行い,53側で眼瞼挙筋腱膜とミュラー筋を瞼板に縫着する腱膜修復術を行った。結果:全例で眼瞼下垂が改善し,1年以内に再手術を必要とする症例はなかった。術後3年以上の観察ができた35側では6例で再手術を行ったが,再手術率に術式による差はなかった。結論:高齢者の眼瞼下垂に対しては,余剰な眼瞼組織を切除する術式が有効であり,眼瞼の重量軽減が1つの理由として考えられる。

参考文献

1)Harris WA, Dortzbach RK:Levator tuck:a sim-plified blepharoptosis procedure. Ann Ophthalmol 7:873-878, 1975
2)Older JJ:Upper lid blepharoplasty and ptosis repair using a transcutaneous approach. Ophthalmic Plast Reconstr Surg 10:146-149, 1994
3)McCulley TJ, Kersten RC, Kulwin DR et al:Outcome and influencing factors of external levator palpebrae superioris aponeurosis advancement for blepharoptosis. Ophthalmic Plast Reconstr Surg 19:388-393, 2003
4)Ben Simon GJ, Lee S, Schwarcz RW et al:External levator advancement vs Müller's muscle-conjunctival resection for correction of upper eyelid involutional ptosis. Am J Ophthalmol 140:426-432, 2005
5)川本 潔:スムースな開瞼と閉瞼を意識した眼瞼下垂手術.眼科手術 20:359-363,2007
6)川本 潔:加齢眼瞼下垂.眼科小手術の基本テクニック.17-24,中山書店,2005
7)中野直樹・加島陽二・田辺由起夫・他:白内障術後にみられる眼瞼下垂.眼紀 43:1294-1297,1992
8)五嶋摩理:下垂症手術をはじめる人のために.眼瞼下垂症手術と涙囊鼻腔吻合術.メディカル葵出版,2008,(印刷中)
9)栗橋克昭:眼瞼下垂と涙道閉塞―涙道閉塞の原因としての開瞼機能低下と交感神経緊張症.臨眼 60:661-671,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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