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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻3号

2008年03月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(1) 原著

重症型春季カタルに対しタクロリムス軟膏を併用した1例

著者: 小沢昌彦1 野田美登利1 内尾英一1

所属機関: 1福岡大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.319 - P.322

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要約 目的:治療に抵抗する重症型春季カタルに対し,タクロリムス軟膏を使用した1症例の報告。症例:気管支喘息とアレルギー性鼻炎がある13歳男児の両眼に視力低下と眼痛が生じた。瞼結膜の巨大乳頭と角膜びらんが両眼にあり,春季カタルと診断された。他医で抗アレルギー薬,ステロイド薬,免疫抑制薬などの点眼を受けたが,病状が悪化し,診断から10か月後に当科を受診した。矯正視力は左右眼とも0.5であった。ベタメタゾンの点眼,トリアムシノロンの眼瞼皮下注射,乳頭切除などを行ったが,角膜障害と瞼結膜の巨大乳頭が増悪した。受診から2か月後に免疫抑制薬である0.1%タクロリムス軟膏1日2回点入を開始した。その1か月後に瞼結膜の巨大乳頭が消失し,角膜障害が改善し,視力は左右眼とも1.5になった。タクロリムス軟膏は3か月で中止したが,6か月後の現在まで再発はない。軟膏の使用を開始してしばらくの期間は,点入時に灼熱感があったが,これ以外の副作用は皆無であった。結論:治療に抵抗する重症型春季カタルに対し,タクロリムス軟膏が有効であった。

参考文献

1)加藤直子:アトピー性結膜炎(含む眼瞼炎)と春季カタルの治療指針.あたらしい眼科 22:733-738,2005
2)池住洋平・鈴木俊明・内山 聖:日常診療に役立つ最新の薬物治療と副作用対策.小児科 47:795-802,2006
3)小沢昌彦・山口晃生・淵上あき・他:春季カタルに対するトリアムシノロンアセトニド眼瞼皮下注射の治療成績.臨眼 61:739-743,2007
4)FK506軟膏研究会:アトピー性皮膚炎におけるタクロリムス軟膏0.1%および0.03%の使用ガイダンス.臨皮 57:1217-1234,2003
5)海老原伸行:アトピー性眼瞼炎.眼科 46:681-687,2004
6)大野重昭・内尾英一・石崎道治・他:アレルギー性結膜疾患の新しい臨床評価基準と重傷度分類.医薬ジャーナル 37:1341-1349,2001
7)本田まりこ:小児用タクロリムス軟膏の使い方.小児科 47:1125-1129,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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