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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻3号

2008年03月発行

文献概要

文庫の窓から

『金匱玉函経』

著者: 中泉行弘1 林尋子1 安部郁子1

所属機関: 1研医会

ページ範囲:P.406 - P.408

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『傷寒論』と表裏の書

 『金匱玉函経』は『傷寒論』と表裏をなす書といわれ,『金匱要略』を加えた3書は,張仲景医書として後漢の頃から今に伝えられる貴重な書物である。宋臣・林億らの手によって治平3年(1066)に初刊本が出されており,その林億の序にはこの書が『傷寒論』と同体別名で,やはり王叔和(3世紀)の撰次したものであるが,晋の時代から800年をへだてているので誤りが多い。その文理は『傷寒論』とは不同の点もあるが,その意義はみな通じるからあえて臆断せず,旧によって8巻,29篇,115方として,『傷寒論』とともにこれを存す,としている。

 実際,林億らは『傷寒論』に引き続き翌年にこの『金匱玉函経』を世に送り出しており,その重要性を認識していたと思われる。だが,この宋改版が出た後,清朝の康煕56年(1717)上海の陳世傑が刊行するまで650年以上にわたり,この書が出された記録は見つかっていない。我が国においても延享3年(1746),清水敬長によって翻刻されただけで,流布した本は少ないと言われている。ちなみに,この清水敬長は山脇東洋の実弟で,実家を継いだ弟であり,敬長が『金匱玉函経』を翻刻した同じ年に東洋は『外台秘要方』を翻刻している。

参考文献

1)岡西為人:中国醫書本草考.井上書店,1974
2)小曽戸洋:中国医学古典と日本.塙書房,1996
3)下見隆雄:葛洪の著書について―『肘後備急方』.福岡女子短大紀要 7:97-106,1973(http://ci.nii.ac.jp/naid/110001151612/)
4)遠藤次郎・島木英彦・中村輝子:『金匱玉函経』および『金匱玉函要略方』における葛洪の役割り.漢方の臨床 49:113-123,2002(http://aeam.umin.ac.jp/lonbun/h1401endou.htm)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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