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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻4号

2008年04月発行

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(2)

原著

高齢者に発症した原田病の2例と臨床的特徴

著者: 市頭教克1 小沢昌彦1 野田美登利1 村田浩司1 林英之1 内尾英一1

所属機関: 1福岡大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.493 - P.497

文献概要

要約 背景:原田病の好発年齢は20~40歳代とされている。高齢で本症が発症すると,原田病に特有な皮膚などの眼外症状と加齢による変化との鑑別が困難である。ステロイドの大量投与で全身状態が悪化し,副作用が生じることがある。目的:2例の高齢者に発症した原田病の報告。症例:83歳女性と60歳男性を原田病と診断した。1例には数週間前から難聴と耳痛があり,4日前に眼痛と霧視を自覚した。矯正視力は右0.6,左0.4であった。左眼に虹彩炎,両眼に乳頭の発赤腫脹と乳頭黄斑間の網膜剝離があり,髄液に細胞増加があった。他の1例は両眼の霧視発症から2週間後に受診した。視力は右0.15,左0.2であり,両眼に角膜後面沈着物,乳頭の発赤浮腫,乳頭と黄斑間の網膜剝離があった。髄液に細胞増加があった。両症例ともHLA型がDR4陽性であった。両症例にステロイドパルス療法を行い,軽快した。症例1では打撲による頸椎骨折,症例2では炎症が再発した。結論:今回の2症例では,注意深いステロイドの全身投与が奏効し,髄液検査とHLAタイピングが診断に有効であった。

参考文献

1)中村 聡:Vogt-小柳-原田病.丸尾敏夫・本田孔士・臼井正彦・他(編):眼科学.Ⅰ.266-268,文光堂,2002
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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