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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻4号

2008年04月発行

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(2)

原著

心因性視覚障害―世代別にみた傾向と特異性

著者: 一色佳彦1 木村徹1 木村亘1 横山光伸1 武田哲郎1 松永次郎1 正化圭介2

所属機関: 1木村眼科内科病院 2焼山木村眼科

ページ範囲:P.503 - P.508

文献概要

要約 目的:心因性視覚障害と診断した患者につき,世代別の病態の特徴,診断の根拠,推定心因などについての報告。対象:過去12年間に心因性視覚障害と診断した180症例を診療録に基づいて検索した。男性51例,女性129例で,年齢別の内訳は,13歳未満の小児66例,20歳までの思春期41例,60歳までの成人56例,高齢者17例である。結果:推定心因は,小児と思春期では学校や家庭に関するストレスが上位を占め,成人では仕事や家庭など生活に関するストレス,高齢者では孤独,経済問題,疾病に関するストレスが多かった。病態の特徴として,小児と思春期では心因が単純で治療しやすい症例が多く,成人と高齢者では心因が複雑で治癒しにくい傾向があった。結論:心因性視覚障害は全年齢層にあり,成人と高齢者では,小児や思春期とは異なり難治例が多い。

参考文献

1)黒田紀子:心因性視覚障害.眼科 37:851-857,1995
2)小口芳久:学童期の心因性視覚障害.眼科 26:130-145,1984
3)松村香代子・中田記久子・児島加代・他:心因性視覚障害児の治療.眼臨 94:626-630,2000
4)今井済夫:成人の心因性視力障害.臨眼 42:815-817,1988
5)沢田麻子・佐藤美保・広瀬浩士・他:成人の片眼性心因性視力障害の3例.眼臨 91:113-115,1997
6)山田晴彦・山田英里:角膜異物を契機として心因性視覚障害をきたしたブラジル国籍成人の2症例.臨眼 59:1163-1167,2005
7)一色佳彦・木村 徹・木村 亘・他:成人の心因性視覚障害-小児と比較した特異性.臨眼60:627-634,2006
8)中川泰典・木村 徹・木村 亘・他:高齢者の心因性視覚障害11例.臨眼 56:1579-1586,2002
9)小宮山純:神経眼科の心因性異常について.神眼20:103-105,2003
10)小口芳久:視覚による情報処理機構―臨床応用に向けて.日眼会誌 102:850-875,1998
11)八子恵子・山出新一・横山尚洋:心因性視覚障害.中山書店,東京,1998
12)小口芳久:心因性視力障害.日眼会誌 104:61-67,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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