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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻4号

2008年04月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(2) 原著

光線力学療法施行後早期に著明な視力低下をきたした加齢黄斑変性症例の検討

著者: 新井純1 新井郷子1 吉田紀子1 福井えみ1 中村さち子1

所属機関: 1信州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.543 - P.547

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要約 目的:光線力学療法(PDT)を行った後,早期に顕著な視力低下が起こった症例の検討。対象:PDTを行った加齢黄斑変性(AMD)患者のうち,術前の矯正視力が0.4~0.6の48例48眼を対象とした。男性36例,女性12例であり,年齢は47~87歳(平均72歳)であった。AMDの内訳は,狭義のAMD 15眼,ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)28眼,網膜血管腫様増殖5眼であった。結果:PDTから6か月後の視力は,10眼で改善,26眼で不変,12眼で悪化した。7眼(15%)では0.2未満に低下した。この7眼中,2眼がPCV,3眼が脈絡膜新生血管を伴うPCVであった。視力低下の原因は,脈絡膜新生血管の拡大が2眼,瘢痕化が3眼,網膜色素上皮の萎縮が3眼であった。結論:脈絡膜新生血管を伴うPCVでは,PDTを行う際に注意が必要である。

参考文献

1)Japanese Age-Related Macular Degeneration Trial(JAT)Study Group:Japanese age-related macular degeneration trial:1-year results of photodynamic therapy with verteporfin in Japanese patients with subfoveal choroidal neovascularization secondary to age-related macular degeneration. Am J Ophthalmol 136:1049-1061, 2003
2)永瀬康規・尾花 明・郷渡有子・他:滲出型加齢黄斑変性に対するphotodynamic therapyの短期成績.眼紀 57:362-366,2006
3)村尾史子・賀島 誠・内藤 毅・他:加齢黄斑変性に対する光線力学的療法の治療成績.臨眼60:1795-1798,2006
4)荻野哲男・竹田宗泰・今泉寛子・他:日本人の加齢黄斑変性に対する光線力学的療法の経過.眼紀 57:49-53,2006
5)永井由巳・正健一郎・高橋寛二:加齢黄斑変性に対する光線力学的療法(PDT).短期臨床効果と問題点.眼科手術 18:319-323,2005
6)高橋寛二:滲出型加齢黄斑変性に対する光線力学的療法.臨眼 59:789-798,2005
7)脇山はるみ・松本牧子・北岡 隆:加齢黄斑変性に対する光線力学的療法.臨眼 60:925-928,2006
8)眼科PDT研究会:加齢黄斑変性に対する光線力学的療法のガイドライン.日眼会誌 108:234-236,2004
9)荻野哲男・竹田宗泰・今泉寛子・他:加齢黄斑変性に対する光線力学的療法の視力不良例の検討.日眼会誌 111:309-314,2007
10)Treatment of Age-Related Macular Degeneration with Photodynamic Therapy(TAP)Study Group, and Verteporfin in Photodynamic Therapy(VIP)Study Group:Acute severe visual acuity decrease after photodynamic therapy with verteporfin:Case reports from randomized clinical trials-TAP and VIP report No. 3. Am J Ophthalmol 137:683-696, 2004
11)新井 純・新井郷子・吉田紀子・他:Ⅱ型脈絡膜新生血管が主体の加齢黄斑変性に対する光線力学的療法の検討.眼臨 101:840-843,2007
12)櫻井寿也・前野貴俊・中井孝史・他:トリアムシノロン併用光線力学療法.あたらしい眼科23:1083-1086,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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