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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻4号

2008年04月発行

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(2)

原著

血管れん縮視神経網膜症の1例

著者: 土屋櫻1 古賀規貴2 村上晶3

所属機関: 1都立豊島病院眼科 2都立豊島病院内科 3順天堂大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.571 - P.575

文献概要

要約 目的:血管れん縮視神経網膜症の症例の報告。症例:53歳男性が呼吸困難の悪化でうっ血性心不全と診断され,緊急入院した。血圧は257/158mmHgであった。治療により血圧は正常化し,心不全と呼吸困難は改善した。入院から8日後に一過性の両眼視力障害があり,その3日後に眼科を受診した。矯正視力は右0.8,左1.2で,両眼とも乳頭が境界不鮮明で発赤・腫脹し,その周囲に軟性白斑と出血斑があった。黄斑部にかけて浮腫と星状斑があり,網膜動脈が狭細化していた。視野では両眼のMariotte盲点が拡大し,左眼の下鼻側に欠損があった。加療により全身状態が改善し,7週間後に退院した。網膜出血,白斑,乳頭から黄斑部にかけての浮腫は消退した。入院から7か月後の時点で,視力は左右とも1.2であり,Mariotte盲点の拡大はなくなったが左眼下鼻側の視野欠損は残った。結論:本症例は血管れん縮網膜症の重症型である血管れん縮視神経網膜症と診断される。これに対し,降圧治療は奏効したが,視野欠損は残存した。

参考文献

1)松橋英昭:眼循環.疾患と眼循環.高血圧と眼循環.NEW MOOK眼科7.192-197,2004
2)田原昭彦:降圧治療と臓器保護.網膜障害の降圧療法と臓器保護.成人病と生活習慣病 33:1495-1498,2003
3)小林 博:高血圧網膜症.腎と透析 57(増刊):225-228,2004
4)藤野 貞:うっ血乳頭.神経眼科臨床のために.91-92,医学書院,東京,1993
5)佐々木智子・津谷季代・寺野正子・他:視神経乳頭浮腫により診断された悪性高血圧症の2例.近畿中央病院医学雑誌 19:75-80,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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