文献詳細
臨床報告
糖尿病網膜症に対して観血的治療を施行したPrader-Willi症候群の1例
著者: 坂本真季12 坂本英久12 久保田敏昭3 石橋達朗2
所属機関: 1九州労災病院眼科 2九州大学大学院医学研究院眼科学分野 3産業医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.597 - P.602
文献概要
目的:糖尿病網膜症に対して手術を行ったPrader-Willi症候群症例の報告。症例:23歳男性が両眼の視力低下で受診した。3歳のときに肥満や特異な顔貌からPrader-Willi症候群が疑われ,4歳のときに15番染色体長腕の部分欠失があり,本症候群の診断が確定した。10歳で糖尿病と診断され,9か月前に左右とも1.0の視力があった。所見と経過:身長151cm,体重97kgで,左右眼とも矯正視力は0.04,眼軸長は約21mmで,角膜屈折力は左右眼ともほぼ47Dであった。眼底に増殖糖尿病網膜症があり,右眼には網膜中心静脈閉塞症,左眼には硝子体出血が併発していた。右眼に汎網膜光凝固を行った後,左右眼に硝子体手術と水晶体乳化吸引術を行い,硝子体腔をシリコーンオイルで充填した。右0.05,左0.2の最終視力が得られた。結論:Prader-Willi症候群に併発した糖尿病網膜症に対して硝子体手術が奏効したが,精神発達遅延などが関係する術前・術後の管理に問題があった。早期発見と早期治療が望まれる。
参考文献
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