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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻5号

2008年05月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

HTLV-Ⅰ関連ぶどう膜炎の臨床像

著者: 高畑太一1 山田浩喜1 田中陽子1 北岡隆1

所属機関: 1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科眼科・視覚科学教室

ページ範囲:P.703 - P.706

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要約 目的:ヒトTリンパ球向性ウイルスⅠ型(HTLV-Ⅰ)の高浸淫地域である長崎での,HTLV-Ⅰ関連ぶどう膜(HAU)罹患者の臨床像の報告。対象:過去1年間に長崎大学病院を受診したHAU患者17名28眼を診療録に基づいて検索した。結果:年齢は49~79歳(平均62歳)であり,男性3例,女性14例で男女比は1:4.7であった。眼病変の発症年齢は35~76歳(平均57歳)であった。6例が片眼に発症し,11例が両眼に発症した。病型では中間部ぶどう膜炎が最も多かった。硝子体混濁が86%に,網膜血管炎が17%にあった。多くの症例ではステロイド治療に反応したが,2眼では硝子体手術を必要とした。甲状腺機能亢進症が29%にあり,2年間に46%の症例が再発した。結論:過去の報告と比べ,今回の症例群では女性の頻度が高かったが,その他の点では既報とほぼ一致した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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