臨床眼科62巻5号

2008年05月発行

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

ガラクトシアリドーシスの1例―視機能とロービジョンケア

著者： 吉井大¹

所属機関： ¹国立身体障害者リハビリテーションセンター眼科

ページ範囲：P.712 - P.716

要約　目的：視機能とロービジョンケアについて検討したガラクトシアリドーシス症例の報告。症例：18歳男性。羞明と視力低下のため当科を受診した。初診時，両眼矯正視力は0.1，両眼眼底には黄斑部に桜実紅斑（cherry-red spot）を認めた。色覚検査では分類不能な色覚異常，Humphrey視野検査では縞状の感度低下を認めた。全視野網膜電図は正常範囲下限値を示したが，後極部網膜電図は視角10°と20°刺激で有意な振幅低下を示した。羞明や近見・遠見視力低下に対し，遮光眼鏡，手持ち式拡大鏡と単眼鏡を処方した。結論：眼底後極部の錐体系反応が主に障害されていた本症例では，日常生活の問題点に対応したロービジョンエイドの処方が有効であった。

参考文献

1）桜庭　均：シアリドーシスとガラクトシアリドーシス．小児内科　35：488-493，2003

2）Toyooka K, Fujimura H, Yoshikawa H et al：Nephrosialidosis．Ultrastructual and lectin histochemical study. Acta Neuropathol　86：198-205, 1993

3）Nobeyama Y, Honda M, Nimura M：A case of galactosialidosis. Br J Dermatol　49：405-409, 2003

4）Yoshii M, Yanashima K, Nagasaka E et al：Nonlinear component of electroretinogram recorded from posterior pole of normal and highly myopic human eyes. Ophthalmic Res　34：393-399, 2002

5）簗島謙次：視覚障害の特性別ケア．簗島謙次（編）：ロービジョンケア．231-264，金原出版，東京，2004