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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻5号

2008年05月発行

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(3)

原著

視力の変動がみられた眼虚血症候群の1例

著者: 鈴木敦子1 磯村悠宇子1 山田雅子1 吉川智穂1 大原茂幹2

所属機関: 1名鉄病院眼科 2名鉄病院脳外科

ページ範囲:P.759 - P.763

文献概要

要約 目的:心臓バイパス手術後に眼虚血が悪化し,血圧に連動して視力が変動した内頸動脈症候群の症例の報告。症例と経過:72歳男性が両眼の視力低下で受診した。高血圧,糖尿病,狭心症の既往があった。矯正視力は右0.7,左0.06であり,左眼視力低下は幼時からの角膜混濁が原因と推定された。狭心症に対し心臓バイパス手術が行われた。術後の覚醒時に視力低下があり,右0.1,左0.01になった。眼圧は低値であったが両眼に虹彩ルベオーシスがあった。内頸動脈狭窄が発見され,眼虚血症候群と診断した。血圧が動揺し,収縮期圧が100mmHg以下のときは右眼視力が0.1から手動弁の間を変動した。右内頸動脈内膜剝離術を行い,また心機能回復とともに血圧が上昇し,両眼ルベオーシスは消退し,視力変動はなくなった。結論:内頸動脈狭窄があるときには,眼虚血症候群が増悪することがある。心臓手術のように侵襲が大きな介入を行うときには,事前の内頸動脈の評価が必要である。

参考文献

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2)梶浦祐子・藤沢久美子・井上正則:内頸動脈閉塞に伴う血管新生緑内障.虹彩ルベオーシスの発生機序と治療方針.臨眼 45:1055-1058,1991
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8)西川憲清・福田全克・清水芳樹・他:内頸動脈閉塞に続発した緑内障.眼紀 28:841-846,1977

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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