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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻6号

2008年06月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

涙小管炎の起炎菌に関する検討

著者: 杉田真一1 大江雅子1 木下太賀1 山田知之1 竹中久1 櫻井寿也1 張國中1 前野貴俊1 真野富也1 北澤俊美2

所属機関: 1多根記念眼科病院 2多根総合病院細菌検査室

ページ範囲:P.851 - P.855

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要約 目的:涙小管炎の症例から分離同定した起炎菌と,その抗菌薬に対する感受性の報告。対象と方法:過去88か月間に涙小管炎と診断された23例23眼を対象とし,診療録に基づいて検索した。男性5例,女性18例であり,年齢は平均72歳であった。結果:好気性菌16種,嫌気性菌10種が培養同定され,うち嫌気性菌は15眼(65%)から検出された。Peptostreptococcus microsが最も多く,6眼で検出された。アクチノミセスなどの放線菌は6眼で検出された。薬剤に対する感受性検査では,全39菌株中25株(64%)がペニシリン系の抗菌薬に最も高い感受性を示した。結論:涙小管炎では嫌気性菌の関与が大きいことが推定されるが,細菌培養のみで起炎菌を特定することは困難である。

参考文献

が検出された涙小管炎の1例.あたらしい眼科 20:831-833,2003
2)津村浩志・井上幸次・前田直之・他:嫌気性菌による慢性涙小管炎の2症例.眼紀 52:1028-1032,2001
3)中村靖子・福田昌彦・国吉一樹・他:涙小管炎9例の検討.臨眼 55:1907-1910,2001
4)亀山和子・中川 尚・内田幸男:放線菌による涙小管炎の臨床所見.あたらしい眼科 7:1783-1786,1990.
5)亀山和子・大井いく子・内田幸男・他:放線菌による涙小管炎の20例.眼臨 78:826-831,1984
6)蔭山 誠・中塚和男・田村充弘・他:放線菌による涙小管炎の3症例.眼臨 82:1962-1965,1988
7)生馬匡代・三戸秀哲・萩原正博・他:肉芽形成を伴った涙小管炎の1例.眼紀 51:500-503,2000
8)Veirs ER:Lacrimal Disorders. 54-58, CV Mosby, St Louis, 1976
9)宮尾益也・大石正夫:嫌気性菌が検出された涙道感染症の臨床検討.眼紀 50:36-39,1999
10)水戸 毅・児玉俊夫・大橋裕一:憩室を形成した涙小管放線菌症の1例.眼紀 56:349-354,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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